「マジで美味い」「ファミレスのラーメンの中で群を抜いている」と度々バズる、デニーズの担々麵。登場から実は30年超で「メニュー定着」した大器晩成メニューの熱い舞台裏とは?
直近で担々麵がメニューに復活したのは2016年で、そこから10年近くにわたり定着しています。激辛グルメや「ガチ中華」が話題になることが増え、担々麵も当たり前に見かける食べ物となったことが、大きそうです。友井さんは「辛さやシビレへの注目度が、かつてと比較してかなり高まっていると感じます」と話します。 友井さんが特に苦労したと振り返るのが、5年ほど前にリニューアルしたスープです。もともとは1種類のベースから作っていましたが、ゴマのコクと醤油のキレを両立させるため、それぞれのベースを店舗で合わせて調理する形に変更しました。
食べて驚いた程よい辛さは、試食段階で幅広いお客さんを対象にして、社内でも年齢層を区切って細かく試食することで調整したそうです。また、肉みそには肉とともに食感のアクセントとなるタケノコやシイタケを入れることで、味以外の噛み応え・食感にも工夫しています。 さらに直近では、トッピングしている野菜をチンゲン菜からほうれん草に変更するとともに、味気なくなってしまわないように、薄く塩味を付けているそうです。
■「夜ラー」需要も納得の一杯 数々の工夫が功を奏し、メニューに定着した胡麻香る四川風担々麺。デニーズのメイン客層である女性人気もしっかり確保しているほか、意外なところでは夜遅い時間の需要が多いのだとか。 「競合他社が閉店時間を早めていることもあり『夜に本格的なラーメンが食べられる』と、飲み会帰りのような時間帯での人気が出ています」(友井さん) 人気は店内だけにとどまりません。2024年4月にはセブン&アイグループのプライベートブランド「セブンプレミアム」から「セブンプレミアム デニーズ四川風担々麺」が登場。
友井さんは「デニーズとしてはあくまで自社の商品ではなく『協力』という形で携わりましたが、スープへのこだわりなどをお伝えして、可能な限り再現度が高くなるように尽力しました」と話します。 アメリカ発で洋食メインながら、超本格派の担々麵を提供するなど、懐の深さが魅力のデニーズ。最近は自ブランドでの冷凍食品も好調で、ますます目が離せません。
鬼頭 勇大 :フリーライター・編集者