「あの経験があったから…」悔しさ味わった夏からの進化を示した大津、東海大熊本星翔に4発快勝で4連覇達成!!:熊本
[11.16 選手権熊本県予選決勝 大津高 4-0 東海大熊本星翔高 水前寺競技場] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権熊本県予選決勝が16日に行われ、大津高と東海大熊本星翔高が対戦。FW山下景司(3年)のハットトリックを含む4ゴールを奪った大津が4-0で快勝し、4年連続21回目の選手権出場を決めた。 今年の大津はプレミアリーグWEST優勝間近で、高体連最強との声も多い。「過去と比べないようにはしているのですが、高さもあって、スピードもあって、ボールを持てる選手もいるのが今年の強み。チームとしてのバランスが良い」。そう評するのは山城朋大監督で、選手権出場をかけた一戦でも改めて強さを証明した。 前半2分にMF舛井悠悟(3年)が奪った右CKからDF五嶋夏生(3年)がヘディングシュートを放つなど立ち上がりから大津が押し込んだが、東海大熊本星翔はDF渡邉尊翔(2年)を中心とした5バックを敷いてゴール前で自由を与えない。大津攻撃のキーマンであるMF嶋本悠大(3年)に対しては常にマークが付いた状態だったが、その分サイドは空いてくる。 右サイドは、舛井がボールを持てばアグレッシブに縦突破。左サイドは「監督から中に入れという指示があった。隣には嶋本がいて、左SBも信頼できる大神優斗だったので3人のコンビネーションで崩そうと考えていた」と話すMF小松皐(3年)を中心としたグループでの崩しを披露していく。 14分には左クロスが反対サイドに流れると、拾った舛井からDF野口悠真(3年)に下げて、ゴール前に入れたクロスから山下がヘディングシュート。以降もチャンスを作り、前半だけで7本のシュートを放ったが、東海大熊本星翔の堅守を崩せない。 押し込みながら、前半を無得点で終えたが選手に焦りの色は見られなかった。「昨年の決勝を経験している選手が多くいるので、難しい試合になるとチームとして理解していました。なので、前半0-0でもそこまで焦りはなく、“これが決勝なんだ”という想いで後半に挑めた」(五嶋)。 ワンサイドで押し込む試合展開になるとカウンターのリスクがあるが、大津はボールロストから素早く守備に移行。カウンターの出所に制限をかけることで、DF村上慶(2年)と五嶋のCBコンビが前向きでボールを奪えていたこともチームとして大きかった。 点は奪えないものの好材料を抱えて残り40分に挑むと、後半4分には右サイドを抜け出した舛井がゴール前に入れたボールを山下が合わせて大津が先制。14分にも、MF畑拓海(3年)のスルーパスからゴール前に抜け出した山下が2点目をマークした。勢いに乗った大津は20分にもCKのこぼれ球をゴール前に入れなおすと、山下が決めてハットトリックを達成した。 意地を見せたい東海大熊本星翔は主将のMF丸野陽(3年)や俊足のMF上田叡汰(2年)を中心に攻め込もうとするも大津の強度の高い守備を崩せない。試合終盤には畑が放ったシュートが東海大熊本星翔のオウンゴールを誘い、4-0のスコアでタイムアップを迎えた。 夏のインターハイも優勝候補筆頭に挙げられながらも、守備を固めた阪南大高に苦しみ初戦敗退。「相手が引いてきた際の準備をしてきた。夏のインターハイは負けてしまったけど、あの経験があったから今日みたいな難しい試合を勝てた」と話すのは山城監督で、警戒網を打開して得点を奪うためにゴール前に人とボールが入っていくトレーニングを繰り返してきた。そうした成果が歴代の先輩たちが苦しんだ決勝での快勝に繋がったのは間違いない。 より高みを目指しているからこそ、全国行きを決めただけで満足していない。「とにかく全国制覇したい。昨年は昌平に悔しい想いをしているので、選手権に対する思いは特に強い。予選は終わりましたが、満足している選手は誰一人いなくて、試合が終わった後も喜ぶような雰囲気ではなかった。ここから大事」。五嶋が話す通り、大津は満足することなく進化を続けて全国の頂点を狙いに行く。 (取材・文 森田将義)