お金の問題は「お金がないこと」ではない…収入が低くても「一生お金に困らない人」が絶対に欠かさないこと
■売上や利益よりも大切な「資金繰り」 私は大学卒業後、外資系の銀行に就職しました。 そこでは審査室に配属され、銀行がお金を貸している取引先の信用力(融資やその他の取引の決済がきちんとできるかどうか、貸し倒れが生じないかどうか)を調査する、アナリストという仕事に就きました。 あるとき、本店の研修担当者がやってきて、売上や利益も重要だけれど、本当に大切なことは今後の資金繰りの見極めであると教えてくれました。 資金繰りとはその会社のキャッシュ(現金)の出入りのことです。いつ「現金」が入り、いつ出ていくのか、現金の流れをしっかり把握することが大切です。 当時の日本の銀行は資金繰りの予測よりも、会社の規模や歴史、担保価値などを重視していました。しかしその人は、取引先の信用力を分析するには「資金繰り」、つまり正確な現金の流れを見るべきだという本質的なことを教えてくれたのです。 彼が繰り返し言った言葉を紹介します。 ---------- 「CASH IS KING、CASH IS QUEEN」 ---------- 「現金は王であり、女王である」。資金の現状と、そして未来を把握すること。それが最も重要なのです。 ■まずは収支の把握から この大切さは私たち個人にもあてはまります。 自分の資金の現状と今後の推移について把握することができたら、自身の信用力が見えてきます。安定的な基盤をつくるために必要な方法や効果的な戦略を考えることが大切です。 まずは、収支(フロー)を把握しましょう。そのためには、家計簿をつけるところから始めることが必要です。 家計簿をつけたことがない人も、苦手意識がある人もいると思います。しかし、そういう人も、家計簿が持つ大きな力を知ってほしいと思います。次の項目で説明します。
■家計簿をつけるのは当たり前 家計簿をつけると、まず、自分のお金の使い方のクセを知ることができます。特定の出費が多いことに気づいたり、使途不明金の多さに驚いたり、実はもっと使える余地があることが分かることもあります。その上で、自分が今持つ貯蓄や負債などのストックを確認できれば、自分のお金まわりの確認は完了です。 お金の教養講座を主催しているとよく受ける質問があります。 それは「家計簿をつけることにどんな意味があるのか?」というものです。 家計簿は面倒くさい、大変そうだという気持ちが伝わってくる質問です。たしかに、家計簿をつけなくても人生は送れます。 しかし、この質問は、お金について少し学んだことのある人なら、「はみがきをすることにどんな意味があるの?」と聞かれたのと同じぐらいの衝撃があるでしょう。 はみがきをしなくても人生は送れます。しかし、虫歯になるし、それ以上の病気を引き寄せるかもしれません。 家計簿をつけたことがない、あるいは昔つけたけど挫折したことがある人もいるでしょう。大丈夫です、何ごとも習慣化できると、はみがきと同じくらい普通になります。逆にいうと、挫折してしまった理由は習慣化できなかったことにあります。 ■「しくみ化」すれば楽になる 次の項目で、私が生徒さんにお伝えした方法をいくつかお知らせします。 習慣にするためには、しくみ化が大切です。簡単に、自動的にやってしまうようなしくみです。いくつかはお伝えしますが、このしくみ(あるいはやる気スイッチとも言えるかもれません)は個人によって違うため、最初はいろいろ試してみる必要があります。ただ、ひとつ覚えてほしいのは、「家計簿で自分の収入と支出を知ることからしか、お金のことは始まらない」ということです。 趣味など自分が続けられていることを思い浮かべながら、その共通項を探してもいいかもしれません。続けられた先にある姿を思い浮かべたり、頑張ることを周囲に宣言したり、仲間を見つけて一緒に取り組んでみてもいいかもしれません。私の講座ではライングループをつくって、進捗を報告し合ったり、情報交換をしたりしています。