巻き返しを図る横浜ビー・コルセアーズ青木勇人HC、ブレない選手への信頼「個人の成長なくしてチームの爆発的な成長はない」(後編)
昨シーズン、横浜ビー・コルセアーズはチャンピオンシップ出場、天皇杯で4強入りとBリーグ創設以降では一番の好成績を残す大きな飛躍を遂げた。そして大黒柱の河村勇輝の残留もあり、今シーズンはさらなるステップアップへの大きな期待を集めて開幕を迎えた。河村はここまでリーグ1位の平均25.6得点と圧倒的なパフォーマンスを見せているが、一方でチームは6勝8敗と思うように勝ち星は伸びていない。後編では、青木勇人ヘッドコーチにチームが成長するために重要視していることを聞いた。
「お互いを尊重して高め合って強くしていくことが理想」
──今、Bリーグの中でも1、2を争うぐらい注目されています。そこに対して、チームとしては何かしら変化があると思いますか。 まず、バスケット界が注目を浴びていて、横浜BCとしてホームゲームで毎回、満員のお客さんの前でバスケットができるのはポジティブでしかないです。ただ、僕たちが絶対に忘れてはいけないのは、去年ベスト4で負けて優勝できなかったチャレンジャーであることです。メンバーも変わって今、新たにチームを作り直している中で、焦りやプレッシャーによって自分たちの戦い方を忘れてしまうのが最も危険なことです。 ただ、新しいスキルセットを持った選手が入り、すぐにまとまるのが簡単ではないこと。また、自分たちにフォーカスして一つずつ積み上げていくことの大切さ、「ローマは1日してならず」であることを去年からいる選手たちは分かってくれています。小さな成功体験を繰り返していくことで結果がついていることを知っているメンバーが、今年も同じことを表現してくれると信じています。 ──河村選手がここまで圧倒的なプレーを見せると、周りが彼に大きく依存しがちになる。もっと他の選手も「自分がやってやる」といったエゴを出してほしいと感じることはありますか。 特にクラッチタイムでは河村選手に託すことが多くなっていますが、時には彼を囮にするパターンも大事です。例えば昨シーズン、琉球ゴールデンキングスとのCSセミファイナル終盤、大庭選手がシュートを打つことができていました。ただ、河村選手と同じ部分ではなく、自分の持ち味をここ一番でしっかり発揮する意味で、もっとエゴを出してもらいたいです。 一人ひとりがそれぞれ強みを持つ仕事人であることがウチの特徴です。なので、「この役割は君が一番だよね」とお互いを尊重して高め合って強くしていくことが理想です。「この場面では3ポイントシュートがほしいから俺じゃないの?」、「勝負どころで相手のエースを抑えるのは自分でしょ」と、各自が自信を持っている仕事に対するプライドやエゴはどんどん出すべできです。それぞれの選手の色がより鮮明になることで、河村選手、森井選手ら司令塔もプレーしやすくなると期待しています。