中途半端に終わった井上尚弥の2度目の防衛戦。大橋会長が試合当日11キロ増で負傷したドヘニーをチクリ「大食い競争ではない。あまり意味ない」
プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王座の防衛戦が9月3日、東京・有明アリーナで行なわれ、絶対王者・井上尚弥(大橋)が元IBF同級王者のテレンス・ジョン(TJ)・ドヘニー(アイルランド)を7回14秒TKO勝利で下し、2度目の王座防衛を果たした。 【画像】「腰の神経がやられた…」レフェリーに”棄権”をアピールした瞬間のドヘニー 意外な結末だった。7ラウンド開始直後、井上が攻撃のスイッチを入れてラッシュしたところでドヘニーは腰を急に手で押さえた。右手を挙げてレフェリーに”棄権”をアピールし、右足を引きずるような仕草もあり、そのまま試合終了のゴングが鳴った。満員の観客からは「え~!」「なんで?」と動揺する声が上がり、会場は騒然。井上の2度目の防衛戦は消化不良で幕を閉じた。 試合後の記者会見にドヘニーは姿を現さなかった。代わりにチーフトレーナーのヘクター・バミューデス氏が出席し、「怪我の状態に関してはもう大丈夫だ。医師の診断を受けて今は休んでいる」と状況を説明する。「(7回の)あのラッシュで傷めたように見えたかもしれないが、その前のラウンドですでに傷めていたんだ。腰の神経をやられて、7ラウンドに痛みが出てしまった」と話し、腰を痛めた原因を明らかにした。プロモーターのマイク・アルタムラ氏は「TJからのメッセージだ。もし、明日6ラウンドの続きができるならやってみたいくらいの思いでいる」と、ドヘニーの無念の想いを伝えた。 一方の井上は、「あのままのリアクションを受け止めましたね」とドヘニーの異変をすぐに察知。「これからというところだった。こうなってしまったのは仕方ない」と負傷での棄権に理解を示した。 ただし、「自分が理想としていた終わり方ではないので。見に来てくれたファンの方もそうだと思うけど、中途半端な終わり方になってしまった」とコメント。予想していなかった幕切れに不完全燃焼の思いを明かし、来場してくれた観客や動画配信で試合を視聴したファンへの気持ちを汲んだ。 会見に出席した所属ジムの大橋秀行会長は「ネリ以上に警戒していた」とドヘニーを評していたが、「こちらの作戦通り、徐々にいってそろそろ仕留めにいくかなと思ったところで棄権しちゃった。ドヘニーが一番どうなるかは分かっていたと思う」と語り、こちらも残念がった。 続けて、「体重が10キロ以上増えたのは、腰を痛めた原因があるんじゃないかな」と指摘。前日計量からドヘニーが当日11キロの体重増加が負傷に影響した可能性があると私見を述べた。加えて、「大食い競争をしているわけではないので。あまり意味がないと思う」とチクリ。陣営の調整に疑問を口にした。 今回は4団体統一戦のため、当日計量は実施されていない。前日計量を一発クリアした両者の当日体重は井上が62.7キロ(前日55.3キロ)、ドヘニーは66.1キロ(同55.1キロ)でリングに上がった。ドヘニーは過去に一晩で12キロ以上も増量したことがあり、今回も同じようにリカバリーを図ったが、無敵の日本人ボクサー相手にそれは仇となってしまった。井上は「(パワーは)多少感じましたけど、びっくりするほどではなかった」と振り返っている。 パワフルなサウスポーに警戒はしていたものの、モンスターにとっては取るに足らないものだった。 取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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