【マイルCS】「負ける理由が見当たりません」フィアスプライドを勝利に導く〝体調管理術〟/新人記者のトレセン日記
[GⅠマイルチャンピオンシップ=2024年11月17日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外1600メートル] 【新人記者・栗栖歩乃花のトレセン日記】 今回はマイルチャンピオンシップに出走するフィアスプライド(牝6・国枝)を取材してきました。新馬の時から担当している中村助手は「負ける理由が見当たりません」と話します。「最愛のまな娘を競馬に出すんだよ。負けるなんて思いたくない」。この言葉からは並々ならぬ思いを感じますが、実際に「思い入れのある馬」だそうです。「新馬の時はうるさいし、かむし、触ると怒るし…。乗ってても跳ねたりして、みんな(厩舎スタッフ)乗りたがらなかった」。そんな手がかかる子を、ここまで導いてきたのが中村助手なのです。 2~3歳時に間隔を空けて使われていたのもその気性の難しさが理由だそうですが、「最近は落ち着いてきたからコンスタントに使えるようになった」。さらに「賞金を加算したことで、有力馬の夏休みをもらえたよ」と今夏はじっくり英気を養いました。夏休みから帰ってきた初戦の府中牝馬Sは4着に敗れましたが「(状態が)まだまだだと思っていたけど、あれだけ走れたので」と今回につながる走りだったと中村助手も評価。期待は高まるばかりですが、過去の戦績を調べているうちに、あることに気付きました。それは馬体重。480キロ以下の時や前走から減ったときに好走しているのです。 聞けば「一番気を付けています」とのこと。「480キロ以下か480キロ前半で使いたいと思っているし、太らせないようにしてる」と目標値を設定しているようです。どう体重をキープしているかというと食事にカギがありました。「厩舎では7升あげるところを5升にしている。運動量を増やすよりいい(減りやすい)」。実際に結果にもつながっていて「太って帰ってきたときに、心苦しいけど4升にしたら激走したからね」と教えてくださった通り、22年は長岡S12着の後、体重を10キロ減らした秋風Sを7番人気で勝っています。 フィアスプライドが6歳になっても頑張り続けられるのは、中村助手のこの体調管理術のおかげかもしれませんし、もちろん、今回もばっちり。前述の落ち着きに加え、「最近は前にもつけられるようになったし、どのポジションでもどんなところでも我慢できて折り合いがすごくつく」のも強み。人気はそれほどなさそうですが、「あとは展開がハマるか。強い馬もいるけど、ハマればチャンスはあります」と中村助手が話す通り、レースの流れ次第では一発の可能性は十分にありそうです。
栗栖 歩乃花