日本フィルが新プロジェクト、広上淳一指揮「オペラの旅」開始へ 「仮面舞踏会」来春上演
日本フィルハーモニー交響楽団(JPO)が、新プロジェクト<広上淳一&日本フィル「オペラの旅」>を始める。同フィルの「フレンド・オブ・JPO(芸術顧問)」の肩書を持つ広上が発案した。来年4月、第1弾としてヴェルディ中期の傑作「仮面舞踏会」をサントリーホールにおいてセミ・ステージ形式で公演する。広上は「10年ぐらい温めていた企画です。日本フィルはシンフォニー(交響曲)のオーケストラですが、日本フィルの新たな歴史としてスタートさせたい」と話した。 ■ハイティンクとの思い出 日本フィルは「オペラの旅」の記者懇談会を、広上の母校で指揮科教授を務める東京・池袋の東京音楽大で開いた。平井俊邦理事長は「広上さんの情熱で始める新プロジェクトは、オーケストラの可能性を広げるものです。日本フィルは2026年に創立70周年を迎えますが、その前にオペラの新シリーズを始めます。身近にオペラを体験していただきたい。経験値の低いところからのスタートとなるが、応援してください」とあいさつした。 広上と日本フィルの関係は長い。1991年から2000年まで正指揮者。この後も定期演奏会などでたびたび指揮し、2021年にフレンド・オブ・JPOに就任した。1984年に優勝したキリル・コンドラシン国際青年指揮者コンクール(オランダ)で審査委員長を務めたベルナルト・ハイティンクとの思い出から話を始めた。ハイティンクは当時、名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任指揮者。61年、32歳の若さで抜擢された。 「ハイティンク先生に、君はいくつだと聞かれ、26歳です、と答えました。私はいつかコンセルトヘボウを離れなければならない。君も成長して、オーケストラに育てられたという感謝の気持ちを覚えることがあるだろう、とおっしやいました。82年、東京国際指揮者コンクールで日本フィルを指揮しました。これが初めての出会いです。88年には東京文化会館で日本フィルのデビューをさせてもらいました。毎年、私を呼んでくれるオーケストラはここだけです。広上を育ててくれたありがたいオーケストラと感謝しています。66歳になり、人生最後にオーケストラに恩返しをしたい。ハイティンク先生のおっしゃったことは真実でした」と話した。 ■オペラでも注目されるオケに