【ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 レースレポート:第6ステージ】ベン・オコーナーが単独逃げ切り成功で全グランツール制覇 個人総合争いでも首位に立つ「今日のレースすべてが楽しかった!」
思えば、昨年も似たようなことがあった。セップ・クス(ヴィスマ・リースアバイク)が115kmもの大逃げを決めて勝利すると、総合で一気にジャンプアップ。2日後にはマイヨ・ロホに袖を通して、結果的に個人総合優勝を果たしたのだった。あのときは、移籍前のプリモシュ・ログリッチやヨナス・ヴィンゲゴーといった“チャンピオン”が脇を固めていて、いわば鉄壁だったけれど、オコーナーの場合はどうなるだろう。両人に共通するのは、第6ステージで“大仕事”を果たしていることである。
「ジャージを守れるかって? できる限りトライしてみるよ。大きなタイム差があるし、この先に控えるハードな山岳も僕にとっては悪くない。リーダーチームとして走る経験は、仲間たちにとっても意義のあるものになるんじゃないかな」(オコーナー)
2シーズン過ごしたデカトロン・AG2Rラモンディアルを今季限りで離れ、来季からはジェイコ・アルウラーへと移る。実質、現チームでは最後となる共同作業。それは、とてつもなく大きなミッションである。
一方、大差での逃げ切りを許したレッドブル・ボーラ・ハンスグローエには誤算が生じていた。ログリッチが着ていたマイヨ・ロホを明け渡すこと自体は、想定の範囲内だった。問題はその相手とタイム差である。彼らにとっては、“貸し出す”程度の感覚だったリーダージャージは、グランツール実績のあるオコーナーへとわたってしまった。それも、5分近い総合タイム差で。
「手に負えない事態になった」とは、チームのスポーツディレクター、パチ・ヴィラ氏。彼によれば、オコーナーら力のある選手が逃げに入った段階で、監視役としてリポヴィッツを前に送り込んだのだという。今年4月のツール・ド・ロマンディでは個人総合3位に入った期待の23歳。逃げ切ったところで、「総合を見据えたプランが増える良い機会だと思ったし、何より他チームがフロリアンの存在を嫌がると思っていた」(ヴィラ氏)。 ところが、オコーナーがアタックした際にリポヴィッツが反応できなかった。「他選手と見合っているうちに行かれてしまった」とは本人談。何とかステージ3位とまとめ、個人総合でも4位へ。同時にヤングライダーのトップに立ったリポヴィッツだけれど、次のステージからはチームとして追う立場に回る。
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