〈韓国「非常戒厳」とフランス内閣不信任の共通点〉なぜ民主主義国は危機に瀕しているか
2024年12月6日付のワシントン・ポスト紙で、同紙コラムニストのファリード・ザカリアが、最近の韓国、フランス、米国等における政治状況を民主主義の危機と捉え、共通の背景として政治制度や政府への信頼が失われていることがあるが、民主主義を支える制度や手続きが尊重されることが重要だと論じている。 世界中が大変な一週間だった。韓国では大統領による戒厳令を国会が拒否し、彼を弾劾しようとした。フランスでは、首相とその政府が議会により不信任された。 これらには、共通したテーマが根底にある。民主主義制度の危機である。 韓国は驚くべき経済成長を遂げた国であるが、深い二極分断と悪質な政治闘争に苛まれており、大統領が戒厳令を宣言した背景には、リベラル派野党と保守派大統領との間の対立があった。この確執はおそらく大統領の弾劾で終わるだろう。 フランスでは、マクロン大統領は改革を進めようとしたが、激しい反対にあった。彼の大仕事である年金支給開始年齢の引き上げは、議会を迂回する手続きによって実現した。前回の選挙で彼の中道派政党は大敗し、議会は極右と極左に支配され、彼らは共謀して首相を失脚させた。 共通のテーマは、人々が伝統的な民主主義制度やエリートをますます信用しなくなったということだ。我々は、私が「革命の時代」と呼ぶ、経済的、技術的、文化的に急速に変化する時代を生きている。 韓国は今、成長鈍化と人口減少という新たな時代に直面している。欧州は、ロシアからの脅威、中国との経済競争、そして寛大なリーダーであることを望まなくなった米国という新たな時代に直面している。 人々の信頼は、公的機関や伝統的メディアではなく、個人の記者や言論人に移りつつある。大勢の共和党員が党への信頼を失い、トランプという一個人に希望を託した。このような組織から個人への信頼のシフトは、かつて大組織が独占していた発信力と影響力を個人が持つことを可能にする新技術によって実現されている。 問題は、自由民主主義は、制度や手続きにより維持されてきたことにある。個人により牛耳られる政府は、結局は気まぐれな政府となる。