青野未来×翔月なつみ マリーゴールド初代チャンピオン対談(後編)マリーゴールドをもっともっと広めたい!1・3大田区を満員に。そして世界進出へ
まず「目で殺す」
「ベルトを獲るまでの戦いが私を強くしてくれました」(青野) 「獲ってからの方が責任は重いです。『ベルトを持ち続ける』って大変で」(翔月) 【写真】翔月なつみのデビュー戦の相手IYO SKY、同期のKairi Sane、高橋奈七永との貴重なショット 青野未来と翔月なつみのマリーゴールド・チャンピオン対談の後編。王者としての自覚と責任感、そしてマリーゴールドで達成したい夢とは? ――今、お2人ともマリーゴールドの初代チャンピオン。青野選手は初代ユナイテッド・ナショナル王者、翔月選手は初代スーパーフライ級王者。こちらは体重55キロ以下という体重制のベルトなんですね。 翔月 珍しいですよね(笑)。小川さんがどういう気持ちで作ったのかは分からないですけど、体重の軽い子たちにチャンスがあるベルトなんです。 ――計量もしているんですか? 翔月 はい。試合の当日に計ってますよ。 ――ビッグマッチで前日会見がある時はメディアの前で公開計量を実施しても面白いかもしれないですね。お二人はベルトを持ってて「任される立場」としてどうですか? 翔月 自分はスターダムもアクトレスも、これまで全部ベルトは返上してきてて。そこでもう1回、両国というチャンスが来たので。未来ちゃんも言ってましたけど「アクトレス勢、どんなもんなんだ?」っていうお客さんの目もずっと感じてたので、やっぱりここで魅せれないと来た意味がないという思いがあって。それは(元アクトレス勢)全員にあると思うので。 ――そうなんですね。 翔月 相手もアクトレスから来た松井(珠紗)で、メインじゃないけどそれぐらいの試合をしなきゃいけないっていう気持ちだったので。ベルトを獲るのはもちろんだし「内容もみんなが納得してもらえる試合にしなきゃ」っていう気持ちでした。 ――見事にベルトを獲り、何か気持ちは変わりましたか? 翔月 ベルトを獲ってからの方が責任は重いですね。チャンピオンはベルトを獲ってからが大変なので。未来ちゃんはアクトレスでずっとベルトを持ってましたけど「持ち続ける」って本当に大変で。 青野 そうですね。 翔月 常に更新し続けなきゃいけないし、やっぱりどんな相手でも「チャンピオンさすが」って思われなきゃいけないし。まだお客さんの中にも「アクトレスどうなの?」っていうのはあると思うので。毎回、毎回、それを上回っていかなきゃいけない責任もありますね。だから、今挑戦してきてる弓月とかにはまだできないんじゃない、って思っちゃいますね。荷が重いんじゃないの、っていう。 ーー青野選手はチャンピオンになるまでが大変でしたね。MIRAI選手との3連続ドローの末に4度目でようやく勝った。 青野 そうですね。あの戦いがあったから、多分、あの日のベルトを獲った瞬間の嬉しさもより一層のものになったし。決勝でボジラに勝てたのも、きっとあそこで強くして貰えたっていうのが私の中であるので。 ――「青野未来対MIRAI」のシングルマッチ4連戦は女子プロレスの歴史に残る激闘だと思いました。 青野 ありがとうございます。最初から(MIRAIとの試合は)すごかったですね。 風香AP 戦う方は本当に大変だったと思いますよ。 青野 ありがとうございます。本当にあの連戦は大変でした(苦笑)。自分の中でずっと「これは試練だな……」って思ってました。 ――MIRAI選手に勝ち、インターバルなしでボジラとの連戦に勝ち、あの過酷な連戦を戦い抜いて「チャンピオン青野未来」が浸透しましたね。 青野 ありがとうございます。 ――自分自身で思う「翔月なつみらしさ」、「青野未来らしさ」って何でしょう? 翔月 マリーゴールドに来てからは体重も重くて背も高い大きい選手とか、若くて元気のある選手たちと戦っていかなきゃいけないので。やっぱり「気迫」とか、ジュリアさんも言ってくださったんですけど、まず「目で殺す」。 ――目で殺す! 翔月 ピリピリした空気って勝手に出るもんじゃないと思うので、緊張感、緊迫感は他の選手より出していきたいと思ってます。あと「ちっちゃくて軽いから負けるだろう」と安易に思われたくないので、例えば(高橋)奈七永さんとかボジラとか大きい人と戦う時も負けん気は持っておきたいし、お客さんに「もしかしたら翔月が勝っちゃうんじゃない?」って思わせたい。そういう気持ちを「常にオラオラしてる」って言われるんですけど(笑)。 青野 フフフ。 翔月 あえて「オラオラ」は消さずにやっていきたいな、って思います。 ――なるほど。青野選手はいかがでしょう? 青野 はい。私はあんまり器用な方でもないので。まっすぐにしか戦えないと思っていて。そのまっすぐなことで「優等生」とか「真面目」って言われるんですけど、自分の中ではあんまりそうじゃなくて。「舐めんな、この野郎!」って思ってる分、猪突猛進じゃないですけどあえて正面から行く、っていう感じもあるので。 ――正面から行く感じは試合でよく現れてますね。 青野 自分ではあんまり個性ないなって思います。個性がないのが悩みだなっていうのはずっとあって。みんなが個性的すぎて。 ――クセが強い人は多いかもしれないですね(笑)。 青野 あー、そうかもしれないですね(笑)。 ――でもクセが強くてギラギラした人が集まってるからこそ、青野選手の真っ直ぐなところが際立って見えるのかも。 青野 そうなんですかね……。でもプロレスラーとしての面白いところって、そういうクセがあるところなのかなと思って憧れてしまう部分はすごいあるんですけど。でも作れないじゃないですか。 ――はい。作ってしまうと見てる方が辛いですよね。 青野 そうですね。 ――いつも自然体で、変なクセのなさこそが青野選手の個性だと思いますけど。翔月選手はどう思いますか? 翔月 「王道」でいいんじゃないでしょうか? 青野 はい(笑)。 風香AP 前は「クセがないからもっと何かやれ」って言われてたんですよ(苦笑)。青野さんは「このまま」がいいのに。 ――本当にそう思います。 風香AP 強気に噛みついたりした時期もあったけど、マリーゴールドに来た直後に小川さんに「青野はどうしたらいいですか?」って聞いたら「このままでいい」と言われて。ただ、私にはいろんな人から「青野さんはもっと良くなる」という声が届くんですよ(苦笑)。 ――青野選手には直接言わずに? 風香AP 「美人には言いにくいから」らしいです(笑)。それを青野さんに伝えたらちゃんと試合に取り入れてくれてました。 ――さすがですね。 青野 いえいえ……。 風香AP 凄かったです。こちらが期待してることを完璧にこなしてしまうんですよ。 翔月 中には迷走してる人もいますしね(苦笑)。 ――それは思います。「強さ」を出そうと皆が「オラオラ」になりがちなのは女子プロレスの悪い面だなと思います。 風香AP それだと駄目ですよね。「愛される子」は愛されないと。ヒールが際立つためにも、みんながみんなオラオラじゃない方がいいです。 ーー同感です。風香AP、さすがです。
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