「アナと雪の女王2」音楽まとめ、7つの新曲を紹介 【ネタバレあり】
「アナと雪の女王」日本公開10周年を記念して、日本テレビ系「金曜ロードショー」では、同シリーズを3週連続で放送。先週の「アナと雪の女王」に続いて、本日12月6日は、世界興行収入が前作を超えた大ヒット作「アナと雪の女王2」が本編ノーカットで放送される。 【フォトギャラリー】「アナと雪の女王2」場面写真 前作「アナと雪の女王」は、映画が社会現象を巻き起こしただけではなく、サウンドトラックも大ヒットを飛ばしたが、本作には新たな劇中歌7曲が登場。前作に引き続き、歌詞をクリステン・アンダーソン=ロペス、作曲をロバート・ロペスが担当している。この記事では、各楽曲の紹介に加えて、それぞれに込められたメッセージを紹介する。 ※本記事には、「アナと雪の女王2」(ディズニープラスで配信中)のネタバレとなる箇所がありますので、未見の方は十分にご注意ください。 ●1.「魔法の川の子守唄」(原題:All is Found) 本作は、アナとエルサ、姉妹ふたりの幼少期の回想シーンで幕を開ける。父であるアグナル国王と母のイドゥナ王妃は、自分たちの娘に、魔法の森にまつわるおとぎ話を伝える。その際に、イドゥナ王妃が「よい子よ、おやすみ」と歌い始める「魔法の川の子守唄」は、成長したエルサが、謎の歌声の正体を突き止める鍵となる重要な楽曲だ。 子守歌にも聞こえる楽曲だが、「溺れないように」という警告にも似たメッセージが込められており、やがて成長するふたりが、真実にたどり着くため、恐怖に立ち向かう未来を暗示している。実際、前作でエルサが身を挺してアナを守ったように、本作のクライマックスでは、アナが、ピンチに陥ったエルサを救うため、大胆な決断を下すのだ。 ●2.「ずっとかわらないもの」(原題:Some Things Never Change) 豊かな秋色に染まるアレンデール王国の風景のなかで、ピクニック気分を楽しんでいるアナと雪だるまのオラフ。色づいた葉っぱを手に「変わらないものはない?」とオラフが疑問に思うところから始まる楽曲は、アナとオラフ、エルサにクリストフも加わり、絆が深まった仲間たちによるウキウキの大合唱が楽しめる。クリストフは、アナにサプライズのプロポーズを準備しているようだ。 ほんの一瞬、オラフが「誰でも大人になる」と画面越しに呼びかけているのは、前作公開から約6年が経ち、少し成長した子どもたちに向けたメッセージとも受け取ることができる。そう、全ては変わっていくーー。楽曲のタイトルとは裏腹に、“変化”がテーマになった「アナと雪の女王2」だが、それだけに「ずっとかわらないもの」の価値が尊いものになっている。 ●3.「イントゥ・ジ・アンノウン」(原題:Into the Unknown) 壮大な物語を盛り上げるメイン楽曲。前作「アナと雪の女王」で“ありのまま”の自分と向き合ったエルサが、彼女だけにしか聞こえない不思議な歌声をきっかけに、再び自身の力と向き合い、迷いを感じながらも、まだ見ぬ世界へと一歩を踏み出そうとする決意がこめられている。 共同監督のクリス・バックは、この楽曲について、「あらゆる世代の人に共感してもらえると思う。いま、あなたがいるところ以上のものがあるのか。そうやって誰もがいつも何かに惹かれていると思う。まだ見ぬ未知の世界には、何かがあるかもしれない。どこへ行こうとしているかわからないけれど、本当の自分を見つけるために、やらなくてはならないことがあるということを、この歌で表現しているんだ」と語っている。 第92回アカデミー歌曲賞にノミネートされ、2020年2月10日(日本時間)に米ロサンゼルスで開催された授賞式には、イディナ・メンゼル、松たか子ら、世界9カ国のエルサ役が結集し、「イントゥ・ジ・アンノウン」を歌唱。アカデミー賞の授賞式で、日本人が歌唱したのはこれが初めてだった。 ●4.「おとなになったら」(原題:When I Am Older) アレンデール王国に起きた異変の真相を探るため、魔法の森にやって来た一同。しかし、オラフはエルサたちとはぐれてしまい、身の回りで次々と起こる奇妙な出来事に、不安を隠せない。そんなオラフが「大人になれば、全てを理解し、何も怖くなくなるさ」と自分を鼓舞する楽曲。ユーモアたっぷりで、オラフの成長も垣間見えるナンバーだ。 地面に開いた穴をのぞき込んだオラフが「サマンサ~」と呼びかけるのは、オラフ役を務めたジョシュ・ギャッドのアドリブ。ご存知の通り、本作にサマンサという登場人物はいない。また、暗がりから赤い目を光らせる恐ろしい生き物たちは、「白雪姫(1937)」へのオマージュとも受け取ることができる。 ●5.「恋の迷い子」(原題:Lost in the Woods) 森のなかでアナと離ればなれになってしまったクリストフが、アナへの溢れる恋心と葛藤を歌い上げたロック調のバラードで、クリストフの優しく純朴な性格が感じられる楽曲になっている。劇中シーンも、80年代のミュージックビデオを思わせる、少々“ベタ”な演出が施され、シリアスな展開が続く映画後半において、思わずクスっと笑える清涼剤的な役割を果たした。相棒・スヴェンら“トナカイ軍団”と織りなすハーモニーも聞きどころだ。 実は、クリストフを演じるジョナサン・グロフは、06年に出演したブロードウェイミュージカル「春のめざめ」でトニー賞の主演男優賞にノミネートされ、その後も演劇界で活躍した存在。それだけに、前作「アナと雪の女王」でクリストフの本格的な歌唱シーンがなかったことに、ファンからは不満の声もあった。今回、満を持しての歌声披露となったのだ。 ●6.「みせて、あなたを」(原題:Show Yourself) なぜ、手に触れるものを凍らせる特別な力を持っているのか? エルサ自身が長い間、悩み苦しんでいた答えにたどり着くシーンで、彼女が歌い上げる楽曲は、過去の記憶と出会い、“大切な人”とのデュエットも実現する感動的なナンバーだ。エルサが自分を解放したのが前作の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」だとすれば、その先で、真の意味で自分を受け入れるのが「みせて、あなたを」となる。この2曲は似ているようで、まるで正反対の、合わせ鏡に写した姉妹のような楽曲ともいえる。 現在、ディズニープラスで配信中のドキュメンタリー「イントゥ・ジ・アンノウン 『アナと雪の女王2』メイキング」では、数カ月後にワールドプレミアを控え、製作段階での試写に参加するクリエイターたちが「みせて、あなたを」を劇中に残すべく奮闘する姿が映し出されるので、ぜひあわせて視聴してほしい。 ●7.「わたしにできること」(原題:The Next Right Thing) 大切なものを失い、窮地に陥ったアナが、暗闇のなかで打ちひしがれながらも、自身の心を奮い立たせて、一歩ずつ前に進もうとする姿を描いた楽曲。「いまできること、それも正しいことをする」という言葉を胸に、アナが正しい道を歩む決意を歌う姿からは、ネガティブな思いに負けることなく、立ち上がるアナの心の成長が伝わってくる。 共同監督のバックは、前作「アナと雪の女王」のプロモーションが始まる時期に、愛する息子を亡くしており、アンダーソン=ロペスとロペスは、プライベートの悲劇と向き合いながら、クリエイターとして仕事に打ち込む彼の姿を思いながら、この楽曲を生み出したと語っている。