写真：Motor-Fan

24年4月にマイナーチェンジを図った「ホンダ・ヴェゼル」。エクステリア/インテリアのハード面と安全運転支援システムなどのソフト面の両面を大幅に進化させて登場した。コンパクトサイズに区分はされるが、ミドル級の室内空間と細かな配慮はアッパークラス並み。華やかな街中の景色にもハマるスタイリングはやり目を引く存在だ。 REPORT:青山尚暉（本文）/小林秀雄（写真解説）　PHOTO:宮門秀行　MODEL:星野芽生改良で内外装意匠を大幅刷新 アクセル応答や走行性も向上 【写真】ホンダ・ヴェゼルの詳細を見る 2代目となるヴェゼルはクラスを超えた欧州SUVを思わせる上級感ある低全高なエクステリアデザイン、前後方向にゆとりある後席居住性、そしてメインとなるe:HEV＝2モーターハイブリッドモデルの上質かつ軽快感ある走りが自慢のコンパクトなアーバンSUV。2021年4月のデビューからちょうど3年、24年4月に「EXPAND YOURLIFE」をコンセプトとしたマイナーチェンジを行なった。 エクステリア 内容はフロントまわりとリヤコンビランプの変更、インテリアの2段センターコンソールの採用、静粛性の向上、乗り心地がAWDに対して硬めだったFF車の足まわりの見直し、e:HEVのエンジン始動停止頻度の低減、アクセルレスポンスの向上、先進安全運転支援システム＝Honda SENSINGの機能追加など多岐に渡る。さらに「e：HEV X」にはアクティブな内外装の「HuNTパッケージ」を、「e：HEV Z」にツートーンカラーが特徴の「PLaYパッケージ」を新設定。従来の「e：HEV PLaY」は廃止だが、AWDの選択が可能となった。 乗降性 そんなヴェゼルに乗り込めば、まずは全長4340mm×全幅1790mm×全高1580～1590mmのボディサイズによる扱いやすさと、洗練されたインテリアの居心地の良さを実感。後席はロールーフだけに天井方向の余裕はともかく、身長172cmの筆者のドラポジ基準での膝まわり空間はかつてのミッドサイズSUVのCR-Vに匹敵する約290mmもあるのだから広々としている。ただし、荷室はキャビン優先パッケージによって、後席使用時に限りゴルフバッグが積めない容量、広さとなる。この点は新型WR-Vにリードされる部分である。 インストルメントパネル ヴェゼルの真打ちと言えるのが4WD。アーバンSUVとはいえ最低地上高がFFの185mmから170mmになるものの、よりオールラウンダーな用途に向くと同時に、コンフォート寄りの足まわりセッティングによって乗り心地面でも一段と洗練された快適感を味わわせてくれる。操縦性は安心感と軽快感を見事にミックスしたもので、結果あらゆる走行シーンでの扱いやすさがある。 居住性 4WDでも21.0km/l（WLTCモード）を上まわる燃費性能を誇る1.5lエンジン＋2モーターの加速力は穏やかさと十分なトルク感が身の上。過剰な速さはないが、FF/4WDを問わずスムーズかつ静かな加速性能が自慢。MC後のモデルはアクセルレスポンスが高まり、それが加減速を繰り返すようなシーンでの運転のしやすさにつながり、懸案だったFF車の乗り心地も4WD車の濃厚な快適感に近づいた印象だ。4WD車のリアルタイムAWDは滑りやすい路面でのトラクションコントロールのブレーキ介入タイミングが見直されたとのことだから、雨に濡れた路面、雪道、オフロードなどでの発進、加速は一段と安心感あるものになっているはずである。 うれしい装備 月間販売台数　　　　　　7984台（23年11月～24年4月平均値） 現行型発表　　　　　　　21年4月（マイナーチェンジ 24年4月） WLTCモード燃費　　　　　26.0 km/l※「e:HEV X」系のFF車　 ラゲッジルーム そうそう、今回のMCで「G」のガソリン車は15.0km/lの燃費性能となる4WDのみに整理。118㎰、142Nmというスペックながら、e:HEVモデルより110kg以上軽量で、フル加速、登坂路を除けば加速力に大きな不満はない。 ※本稿は、モーターファン別冊ニューモデル速報統括シリーズVol.159「2024-2025コンパクトカーのすべて」の再構成です。 http://motorfan-newmodel.com/integration/159/