大阪「通天閣」が臨時休業しない理由 地元住民らの思い、取引先の手助けも
取引先のお菓子は返品の嵐、なら、それを通天閣でSOS販売
そして、もうひとつの声は、通天閣の取引先の声だった。特に「土産物」のお菓子を扱う業者の悲鳴を耳にした。お菓子には「賞味期限」がつきもの。業者は、各地の施設が休館しており、お菓子商品の返品に困っているという悲鳴にも聞こえる状況を耳にした。 高井社長によると、お菓子は廃棄する場合にも、包んでいる包装紙や中身のフィルム包装による分別作業、廃棄の証明書など様々な点でお金がかかるという。 「そうなると、取引先のみなさんも二重苦、三重苦の状態でして。それなら、うちは営業しているので、誰でも入場いただける地下のスペースに机を出した売り場を設けて、定価の半額またはそれ以下での販売を始めました。少しでも、取引先のみなさんの力になれるかなと思いまして」(高井社長)
SOS販売をツイッターで投稿、大阪市長ら約2万のリツイート
ちょうどニュースで、北海道の札幌商工会議所が、公式サイト上で「新型コロナ経済対策掲示板『緊急在庫処分SOS!』」を開設し販売促進支援を行っているのを参考にし、自身も通天閣の公式ツイッターで「SOS」と題して、お菓子の格安販売をツイート。すると、その投稿に約2万近いリツイートがあった。 高井社長は「ツイートをみた方が『自転車で買いにきたで』『近くに来たんで買い来ましたよ』と声をかけてもらいました。リツイートしてくれた中には、大阪市の松井一郎市長もおられて驚きました。そうやって声をかけてもらうたびに、通天閣は周りの方々に支えられてるんやと改めて思いました」と話す。
営業する以上はしっかり対策、新たな検温機械の導入も
もちろん、営業している以上は、新型コロナウイルス対策もしっかり行う。そのために鏡を見たら表面体温がわかる「サーモミラー」を導入し入場者の検温も行ったり、換気の徹底、手洗い・消毒も細かにお願いしている。 また、政府の専門家会議で、集団感染が確認された場所には「換気の悪い密閉空間であった」「多くの人が密集していた」「互いに手を伸ばしたら届く距離で会話や発声が行われた」という3つの分析結果を発表している。