森保ジャパンが見せた「2つの顔」前半3バック→後半4バックに変化しシリア圧倒「成長につながるようなチャレンジ」
サッカー日本代表はホームで、シリア代表に5―0で快勝した。前半13分にFW上田綺世(25)=フェイエノールト=が先制点を決め、その後は2戦連続の大量5ゴールで突き放した。森保一監督(55)は6日のミャンマー戦から先発9人を変更したが、3バックを継続。W杯アジア2次予選6戦を無失点、全勝通過に導いた。24年6月11日開幕(現地時間)の北中米W杯までちょうど2年。トライを重ねて進化を続ける第2次森保ジャパンを、星野浩司キャップが「見た」。 * * * 2万6650人の観衆が沸いた。森保監督は3バックで臨み、激しく迫るシリアを圧倒した。広島の新スタジアムで初の国際試合。選手、監督として長年過ごした地で国歌斉唱時には目に涙を浮かべるなど、思いと目的を込めた一戦で2試合連続5得点で勝利に導いた。2次予選6戦を無失点、全勝で締めくくり「選手がハードワークしてチャレンジしてくれた」と選手をねぎらった。 日本史上初めてW杯後に監督が続投して1年半。長期政権のマンネリを意識し「なれ合いにならないように」とトライを続けた。今活動では守備の負担が大きくなる攻撃的な3バックに挑戦。指揮官は「DFラインの選手が、世界の舞台で力を見せてくれているから」と、対人の強さ、守備範囲の広さなど個の成長を理由に挙げ、右から冨安、板倉、町田を並べた。近年まで世界から評価されにくかったセンターバックの力を見極め、日本が誇る2列目を1人増やした布陣を選んだ。固定概念を持たずに変化できる強みが出た。 後半から4バックに変更し、安定感のある守りでゼロを貫いた。「勝つことはもちろんだけど、これから先の成長につながるようなチャレンジをすること。常に成長、レベルアップすることを考えている」と指揮官。1~2月のアジア杯で苦しんだ中東勢との対決。かつて日本の“苦手分野”だった高さやスピードでも圧倒し、攻撃陣のゴールショーを支えた。 カタールW杯後は16勝1分け3敗。アジア杯の8強敗退はあったが「確実に一歩一歩前進できている」。布陣や選手の組み合わせで選択肢が増えたことは目標のW杯優勝を見据えてもプラスだ。課題は若手の台頭で、9月開幕の最終予選へ向けてはパリ五輪世代など新鋭のA代表入りがカギとなる。 北中米W杯の開幕まで11日であと2年。前回の最終予選は初戦から3戦で2敗と苦しんだ森保監督は「最終予選は別次元。出場国が増えて楽な予選になると思ったら大間違い。肝に銘じて準備する」と語気を強めた。成果が問われる最終予選、世界の舞台へ着実なステップを踏んでいる。(星野 浩司)
報知新聞社