PR会社への公約スライド30万円は政治活動と主張 斎藤知事側の選挙収支報告で記載なし
兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事の選挙活動を巡り、県選挙管理委員会は3日、斎藤氏側の選挙運動費用の収支報告書を公開した。PR会社が請求した5項目のうち、「公約スライド制作」(30万円)についての記載がなく、専門家は「明確に説明すべきだ」と指摘している。 【写真】「愛用の高級ブランドセットアップが品切れ」PR会社社長・折田楓氏 PR会社の女性経営者が選挙後、インターネットの投稿プラットフォーム「note(ノート)」に交流サイト(SNS)の運用を含む知事選の広報戦略全般を担ったなどとするコラムを投稿し、公職選挙法に抵触している可能性が指摘されていた。 報告書によると、収入はいずれも斎藤氏の後援会や政治団体名義の寄付で計2130万円。支出は計2370万967円だった。 支出の中で選挙運動費用として、PR会社が請求した5項目のうちメインビジュアル企画・制作(10万円)やチラシデザイン制作(15万円)などの4項目については税込みでの記載があり、支払先はいずれも「さいとう元彦後援会」と記されていた。「公約スライド制作」は記載がなかった。 斎藤氏の代理人を務める奥見司弁護士は先月27日の会見で、斎藤氏側が5項目の業務をPR会社側に依頼し、11月4日に計71万5千円を支払ったと説明、請求書を公表していた。 奥見弁護士は、スライドの制作費は政治活動費で、今回の収支報告書に記載がなくても問題ないとしている。 選挙制度に詳しい日本大法学部の安野修右(やすののぶすけ)専任講師は「報告書に記載しないのであれば、その費用が選挙運動と切り離されていることを明確に説明すべきだ」と指摘。その上で「支出先が後援会となっている点も不可解で、選挙に関連してなされた支出は実際の請負業者の名義を記載しなければ選挙費用の公明性は確保できない」と指摘している。 一連の問題では、大学教授と弁護士が斎藤氏と経営者の女性の行為は公選法違反(買収、被買収)に当たるとして、神戸地検、兵庫県警に告発状を出している。