バルセロナが直面する変革の推移
2013年5月11日。エスパニョール対レアル・マドリードの一戦でレアル・マドリードが引き分けでも、FCバルセロナの優勝が決まる。23時50分、レアルの引き分けを告げるホイッスルがスタジアムに響き渡る。バルセロナの街中に爆竹の音が響き、車のクラクションが鳴りやまない。 通算22回目のリーガ制覇。今シーズンもさまざまなことがあった。それらが走馬灯のように頭を駆け巡る。だが、どこか心から祝福ができない。悔いの残るシーズン。リーガ優勝は素晴らしい。しかし、これはひとつの時代の終焉を知らせる、あるいは新たな始まりへの序章にすぎなかった。 2013年4月26日。21時49分。一つのゴールがバルセロナを地の底へ陥れる。UEFAチャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグ。ホームのカンプ・ノウで行われたバルサ対バイエルン・ミュンヘン。ロッベンがこの試合最初のゴールを決めた瞬間、バルセロナ中が静まり返った。ファーストレグを0対4で落としていたバルサはなすすべなく、今シーズンのCLを終えた。
海外指導者派遣制度にてバルセロナに身を置く元日本代表MFの廣山望氏は言う。「バイエルン・ミュンヘンに敗北した一番の敗因は“メンタリティー”の違いだと思う。言葉を変えればドイツ人とスペイン人の国民性の違い、仕事を全うするタイプとラテン系タイプとの違いですか。バルサはパリ・サンジェルマン戦、ACミラン戦でピークに達してしまったんですよ。こんな負け方をするバルサもまた人間らしいんじゃないですかね」 海外生活経験が豊富な廣山氏は、準々決勝までに手の内のすべてを見せたバルサにすでに余力は残っていなかったと指摘。一方でメンタリティー以外の要因もあったと続ける。 「何よりもあんなにベストコンディションからほど遠いメッシを、1戦目で90分間使わざるを得なかったことは痛恨の極みでしたね。相手チームはメッシのボールを取りにいくよう試みるが、取れそうで取れないときにDFのバランスが崩れる。相手ディフェンダーにとってこれが一番怖いんじゃないですかね。僕はメッシ依存型のチームでもいいと思う。それが今のバルサの特徴だから。さらに飛躍したバルサを見られるとしたら、それは今後の補強次第。個人的にはネイマールの入ったバルサを見たいですね」 確かにサントスのFWネイマールが加入すれば、攻撃のオプションは間違いなく増える。実際、巷ではすでに選手の去就、獲得リストなどが泉のように溢れ出ている。