世界の24年ニッケル需給、15万1000トン供給過剰。インドネシアNPIの増産継続ー住友金属鉱山予測
住友金属鉱山は、2024年の世界のニッケル需給バランスが15万1千トンの供給過剰になるとの予測をまとめた。23年は12万トンの供給過剰だった見込み。ステンレス向けや電池向けの需要が伸びる見込みだが、インドネシアでの含ニッケル銑鉄(NPI)の増産が継続する見通しで、NPIなどのクラス2ニッケルの余剰感がクラス1ニッケルの需給に波及すると予測した。 24年のニッケル世界需給は、供給量が350万1千トン(前年比7・3%増)、消費量が335万トン(同6・6%増)と予測した。供給のうち、NPI生産は中国が35万トン(同12・9%減)、インドネシアが149万2千トン(同18・2%増)と想定。NPIのマット化を経たクラス1ニッケルの供給量は前年の25万トン程度から30万トン強まで増えると見た。 需要面では、世界のステンレス粗鋼生産を6170万トン(同5・6%増)、このうち中国の生産を3836万3千トン(同4・6%増)と想定。電池用途は前年比で約4万トン増加の約46万トンになると見込んだ。 丹羽祐輔執行役員(金属事業本部副本部長兼ニッケル営業・原料部長)は「ニッケル価格がポンド8ドルを切る水準では資材費の上昇なども加わり、豪州などでの操業が厳しくなっている。足元の価格水準が続くようであれば比較的操業コストが低いとみられるインドネシアでも新しい案件の立ち上げや組成を遅らせる可能性がある」と話し、価格低迷の長期化が供給側に影響する可能性を指摘した。 長期的な需給トレンドについては「電池向けはLFPの台頭に加え、EVの普及ペースがどうなるかが予測しづらく、先行きの需要の伸びが予測しにくい。供給側も価格次第では新規案件の停滞や、操業を停める生産者が出てくる可能性がある。昨年時点では27~28年ぐらいまでは余剰が続くと見ていたが、足元ではこうした変数があるため、将来的な需給バランスを予測するのが難しい」と話した。 一方、23年のニッケル世界需給は、供給量が326万4千トン(前年比12・7%増)、消費量が314万4千トン(同6・9%増)となり、供給量、消費量ともに初の300万トン超となった見込み。供給のうち、NPI生産は中国が40万2千トン(同4・1%減)、インドネシアが126万2千トン(同27・3%増)。需要面では、世界のステンレス粗鋼生産が5843万トン(同5・7%増)、このうち中国の生産は3667万6千トン(同14・7%増)だった。 なお、同社の需給予測ではステンレス需要を大幅に上回って作られる余剰なNPIは織り込まずに予測している。