263日ぶり代表復帰の香川真司は森保Jに何を感じ取ったのか?
ただ、一抹の不安もあった。相手はFIFAランキング12位の南米の強豪。昨夏のロシア大会では勝利しているとはいえ、試合の大半をコロンビアは10人で戦っていた。リベンジを狙う再戦で、ハーフタイムを終えたコロンビアは、香川の目には「悪かったリズムを修正してきた」と映った。 「ホームゲームだからこそ、みんながイケイケになっちゃうところは僕も過去に経験しているし、十分に理解できる。ただ、90分の流れのなかでいい時間帯と悪い時間帯が絶対にあるわけで、そこをどう耐えしのぐかというところも非常に大事になってくる。みんな若くて、ポテンシャルも高い。僕自身も含めてお互いに生かし合っていくことが、日本代表をより強くしていくうえでひとつのキーになる」 5分が表示された後半アディショナルタイムで出た、自分自身の課題も忘れていない。左サイドに展開し、MF小林祐希(SCヘーレンフェーン)が放ったグラウンダーのクロスに左足を合わせようと飛び込んだ、ミートできなかった。試合は右サイドから乾が送ったパスに香川が飛び込むも、相手センターバックに弾き飛ばされた直後に終わっている。 それでも、日本へ戻る機中で30歳になり、今回の招集選手では国際Aマッチ出場96試合目と群を抜く数字を誇る生粋のトップ下は、目の前の結果に一喜一憂しない。 「自分自身、そこ(日本代表)での経験値は一番高いものがあると思っているし、その自覚も求められている。すべては始まったばかり。試合を重ねるごとによくなっていくように、みんなと、若い選手たちと一緒に頑張っていきたい」 積極果敢かつスピーディーに縦へ攻める森保ジャパンの武器を、ちょっとした“間”を加えることでさらにパワーアップさせる――青写真をより鮮明に描きながら、家族も観戦に訪れる、生まれ育った神戸で行われる26日のボリビア代表戦へ香川は気持ちを切り替えていた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)