263日ぶり代表復帰の香川真司は森保Jに何を感じ取ったのか?
時間が惜しいとばかりに、MF香川真司(ベシクタシュJK)は攻撃陣と言葉を交わし続けた。試合後のフラッシュインタビューを待っている間に、コロンビア代表に苦杯をなめたばかりの日産スタジアムのピッチでMF南野拓実(ザルツブルク)と身振り手振りで話し込んだ。 駆けつけた6万3000人を超えるファンやサポーターへ挨拶するため、場内を一周する間にはMF堂安律(FCフローニンゲン)と並び、スタンドへ手を振りながら話し続けた。途中からはMF乾貴士(デポルティーボ・アラベス)も加わり、あぶり出された課題を確認し合った。 まさかの逆転負けを喫して涙した、ベルギー代表とのロシアワールドカップ・決勝トーナメント1回戦以来、実に263日ぶりに日の丸を背負ってプレーした。待ち焦がれてきた時間だったはずなのに、試合後の香川の胸中を支配したのは万感の思いではなく未来への手応えだった。 「後半に自分が入った時間帯で、みんなの中への意識が非常に強く、ちょっと密集しているのかなと感じていたので。どのように崩していくのか、という点に関してはお互いに思うことを話し合いながら、コミュニケーションを取り続けていく必要がある。個人的には1試合目ですけど、チームの完成度の高さは僕自身も感じていたので、しっかり融合させていければ」 22日に行われたキリンチャレンジカップ2019。リザーブとして戦況を見つめ、後半開始以降はウォーミングアップを重ねていた香川へ、森保一監督から声がかかったのは同16分過ぎだった。小走りでベンチへ戻る間に、大きな声援が降り注いでくるのを感じた。 背中に「10」番が記された青いユニフォームに着替え、スタンバイしている最中に状況が一変する。ペナルティーエリア内で相手に放たれたシュートが、DF冨安健洋(シントトロイデンVV)の手をかすめた。不運なハンドで献上したPKで、0-0の均衡を破られた。 直後の後半20分から、FW鈴木武蔵(北海道コンサドーレ札幌)との交代で香川が投入された。この瞬間の青写真には森保ジャパンが誇る両翼、左の中島翔哉(アル・ドゥハイルSC)、右の堂安をどのように使っていくのかが鮮明に描かれていた。 「やっぱりサイドにストロングポイントがあると思うので。サイドで1対1になったときに個で打開できる選手が多いんですけど、そうした展開がなかなか生まれづらかった」