ドル下落に備える市場、米CPI下振れ警戒-利下げ期待を後押しも
(ブルームバーグ): 為替トレーダーらは、15日に予定されている4月の米消費者物価指数(CPI)発表後にドルが下落する可能性に備えている。
オプション市場では、CPIの発表に向けて、トレーダーがドルの弱気ポジションを積み増しており、通常はプラス圏で推移する1週間物のリスクリバーサル指数は14日、2カ月ぶりにマイナスに転じた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は14日、金融政策の次の一手が利上げになる可能性は低いとの見解を繰り返しており、インフレ鈍化を示す証拠はこうしたスタンスを後押しし得る。そうなれば、トレーダーの焦点は年内の金融緩和に回帰し、ドルに下押し圧力がかかりやすくなるだろう。
ブルームバーグのエコノミスト調査(中央値)によると、4月の総合CPIは前年同月比で3.4%上昇と、前月の3.5%上昇から伸び鈍化が見込まれている。
インフレ指標が市場の予想通りあるいは予想比で下振れする場合は、米金融当局が年内に25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを2回実施するとの予想が補強され得る。パウエル議長は14日に継続的なインフレ鈍化の証拠を待つ必要があるとして、当局は忍耐強くあるべきだと発言。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は同日の取引で下落した。
米商品先物取引委員会(CFTC)が公表した7日までの1週間のデータでも、トレーダーが大口のドル強気ポジションの構築を控えていることが確認できる。ヘッジファンドや資産運用会社などの投機筋を含む非商業部門では、ドルの先高観に基づいた取引のポジション残高が240億ドル(約3兆7500億円)程度にとどまり、4月初旬以来の水準に落ち込んだ。
過去1年間にCPIが予想比で下振れしたのは3回で、いずれの場合も、ドルが大幅に下落してその週の取引を終えている。
原題:Traders Are Ready for Dollar to Drop After US Inflation Data(抜粋)