毎年、年末調整で1万円ほど「還付」されるのに、今年は2000円「徴収」された!「賞与」が関係しているってどういうこと? 還付・徴収される理由をそれぞれ解説
賞与が多いと年末調整で「徴収」になるのはなぜ?
賞与が多いと、年末調整で徴収になることがある理由を解説します。 ■賞与の源泉徴収の仕組み 賞与から差し引かれる所得税は、図表1の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」にのっとって計算します。前月の「課税給与額-社会保険料」と扶養人数をもとに、表を参照し、賞与にかかる源泉所得税の「税率」が決まります。 図表1
国税庁 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和5年分) 毎月の給与の源泉所得税は「給与-社会保険料」をダイレクトに国税庁の表に当てはめて計算しますが、賞与は賞与額を当てはめるのではなく、前月給与額を当てはめて、まず「税率」を求め、その税率を「賞与額-社会保険料」に乗じて計算します。 ただし前月に給与の支払いがなかった場合や、賞与が前月給与の10倍を超えている場合は、特別な計算方法になります。 ■賞与が原因となり年末調整で追加徴収となる場合 国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から求める源泉徴収税率は「賞与は毎月の給与の5ヶ月分」と仮定されたものです。そして表に当てはめるのは、賞与が支払われる「前月の給与額」です。 そのため賞与がとても多かったり、たまたま前月給与が普段より低かったりした場合などは、年末調整で追加徴収が起きやすいかもしれません。
まとめ
賞与から差し引かれる源泉徴収税の税率は、前月給与額から求めるため、普段の給与額に比べて多額の賞与が支払われると、年末調整で所得税が追加徴収されることがあります。 とはいえ、この場合は、賞与から控除された所得税が少なかったため、賞与としての振込額は多めだったはずです。年末調整で還付がなかったのは残念に感じるでしょうが、「1年間頑張ったごほうび」は賞与から出しましょう。 出典 国税庁 令和5年版源泉徴収のあらまし 第2 給与所得の源泉徴収事務 国税庁 No.2523 賞与に対する源泉徴収 国税庁 令和5年分源泉徴収税額表 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表 執筆者:橋本典子 特定社会保険労務士・FP1級技能士
ファイナンシャルフィールド編集部