インド映画が踊りまくるのはなぜ?年間製作約2000本、世界一の映画大国に見る特殊な事情
ラーマ役のラーム・チャランの父も俳優チランジーヴィです。ラーマの父役のアジャイ・デーヴガンは、父はアクション監督、母はプロデューサーです。 さらに、アジャイの妻カージョルは、父は映画監督で母は女優タヌージャー、叔母も女優ヌータン、女優のラーニー・ムケルジーは親類です。また、『きっと、うまくいく』のアーミル・カーンは伯父ナシル・フセインの映画で子役デビューしました。 しかしながら、『恋する輪廻』の主演のシャー・ルク・カーンは映画一家の出ではなく、テレビドラマからキャリアを始め、映画へと進出した逸材です。この映画のプロデューサーはシャー・ルク・カーンの妻であるガウリーで、映画一族の出身でない苦労をよくわかっています。 「その名前ではだめだ。名前はクマールかカプールがよい」という台詞には映画一族出身でないシャー・ルク・カーンをはじめとする映画人、または映画界を志望する人々の悲哀と苦労、願望、そして皮肉が込められています。 そして30年後カプール家に生まれ変わったオームは大スターとなりました。オームが主演男優賞をもらった後のパーティーで、彼は「もし僕が父さんの息子でなかったら、僕はただのオームだった。名声や地位もなかった。トロフィーの代わりに手には酒瓶を握ってた」といいます。 まさに30年前はその通りだったのであり、努力と運と実力でスターとなったシャー・ルク・カーンの本音なのではないでしょうか。 もちろん、カプール一族に生まれたというだけで、映画界で活躍することができるというわけではありませんが。
宮崎智絵