ブローザホーンでGⅠ初制覇! 吉岡辰弥調教師がかなえた夢 〝心躍った〟シーザリオの衝撃
6月23日に行われたGⅠ宝塚記念を制したのは5歳牡馬のブローザホーン。管理する栗東・吉岡辰弥調教師(48)は、10回目のJRA・GⅠ挑戦で初の優勝を果たした。 【写真】アメリカンオークスを完勝したシーザリオ 吉岡調教師がトレセン入りしたのは1993年。2005年に起きたある出来事に「心が躍った」と言う。 「角居勝彦調教師の管理馬であるシーザリオがアメリカンオークスを勝ちました。アメリカでGⅠを勝つなんて衝撃的でした」 伯楽・角居調教師に憧れ、08年には厩舎の門を叩いた。 「自分が角居厩舎に在籍していたころも、ヴィクトワールピサが(GⅠ)ドバイワールドカップを勝つなど、海外に挑戦する馬がたくさんいました」 もっとも、吉岡調教助手(当時)には縁がなかったという。結局、自分の担当馬が海を越えることがないまま、19年には調教師試験に合格。翌20年に開業した。 そして、開業5年目となる今年、冒頭で記したようについにGⅠ制覇を成し遂げた。ところがこのGⅠ制覇よりも先にかなえた夢があった。 海外遠征だ。23年、ブレークアップでオーストラリアへ遠征。コーフィールドC、メルボルンCとGⅠに挑んだが、結果は前者が8着、後者は16着。海外の厚く高い壁にはね返されてしまった。 「馬っ気のある馬だったので、パドックを回す時間を短くしたり、ついたてで他馬を視界から遮ったりしたところ、気合が乗り切らないなど、なかなかうまくいきませんでした」 それでもメルボルンCで騎乗した松山弘平騎手は「状態は良かったです」と言い、敗因を「スタートで待たされた影響で取りたいポジションを取れず、持ち味が生きませんでした」と語った。 厩舎初のGⅠ馬となったブローザホーンでまた海を越えるかは分からないが、若い調教師なので近いうちにまたリベンジの機会があるだろう。その日が来ることを期待して待ちたい。(平松さとし)
東スポ競馬編集部