そのリスクを理解し、死者を出すようなパンデミックの出現を防ぐ鍵を握るのは、感染を検出し、ウイルスの分子変化を追跡する能力だ。

ノースイースタン大学のサム・スカルピーノ教授は「われわれは火遊びをしている」と語る。新型コロナウイルス禍当時、ロックフェラー財団で病原体サーベイランスを指揮した同教授は「サーベイランスは実施されていないため、感染はないと言い切れない」と述べた。

ＣＤＣは鳥インフルエンザの実地検査など各種サーベイランスを実施する準備が整っていると、マンディ・コーエン所長は話す。

「実施の用意はできている」とコーエン所長は６日のインタビューで話した。多言語で学際的な疫学チームを「数週間前から」スタンバイさせていると述べた。

しかし家畜の感染が確認されたテキサスとニューメキシコ、ミシガン、カンザス、アイダホ、コロラド、ノースカロライナ、オハイオ、サウスダコタの９州はＣＤＣに調査を依頼していないと声明で明らかにしている。

このうちニューメキシコとテキサス２州だけは独自で検査を実施しているが、その範囲は限定的だとしている。ニューメキシコ州の報道官は電子メールで、同州は独自に３人を検査したと明らかにした。

テキサス州保健局が約20人を検査した結果、酪農場の作業員１人が陽性だった。この労働者は目が赤く腫れる結膜炎の兆候を示し、検査の翌日には仕事に復帰した。同局の報道担当者によると、「疫学的実地調査への参加を希望する酪農場がないため 」同州はＣＤＣを招へいしていない。

原題：Just One Human Is Infected by Bird Flu. More US Cases Are Likely（抜粋）

--取材協力：Madison Muller.

(c)2024 Bloomberg L.P.