スタジオジブリ、イラストの無断高額転売「看過できない」 声明で「厳正な法的措置」強調
人気漫画やアニメのイラスト集やカレンダーの絵を無断で切り抜き、額装して高額で出品する転売がフリーマーケットアプリで横行している。こうした事態にアニメ制作会社「スタジオジブリ」は9日、民事と刑事両面で厳正な法的措置を取るとの声明を発表した。各社は著作権侵害に神経をとがらせるが、転売ヤー対策には有効打はなく、市場から排除するには課題が山積している。 【写真】「購入を控えて」フリマアプリに出品されているシルバニアファミリーの館内装飾 ジブリは公式サイトに発表した声明で、一部の店舗や通販サイトで、イラスト集やカレンダーを切り取った絵が額装されて高額な値段で販売されていることを挙げ、「著作権その他知的財産権を侵害し得る」と訴えた。 ■「著作権を侵害」 ジブリは自社の作品やキャラクターについて、「多くの関係者が時間と労力を費やして創作して世に送り出され、世界中の多くの人々に長年にわたって愛され続けている」と強調。切り抜きの高額転売を「不当に利益を上げる行為として看過することはできない」と厳しく非難した。ジブリの広報担当者は産経新聞の取材に対し、具体的な対応について検討していることを明かした。 フリマアプリには、人気漫画「スラムダンク」などでも同様の額装品が出品されている。商品の説明欄には「公式図録から抜粋」などと書かれ、高額なものは数万円で販売されている。海外限定のイラストや希少なポスター、セル画などと混じって出品されており、アプリ上でイラストの質を見極めるのは難しい。 イラストや文章などを著作権者の許諾を得ずに無断で利用すれば、著作権法違反に問われる可能性がある。海賊版サイトの横行もあり、出版社も著作権対策を強化しており、権利侵害には敏感になっている。 ■雑誌切り抜きは日常的に取引 ただ、こうした転売を市場からなくすのは難しいのが実情だ。フリマサイトでは雑誌に掲載された人気アイドルの写真や記事の切り抜きが日常的に販売されている。コレクターグッズを扱う専門店で、絶版となったイラスト集や過去のポスターが高額で売買されることも珍しくない。 転売に詳しいニッセイ基礎研究所の広瀬涼研究員は、ジブリの対応について「法的に侵害を訴えることは当然の権利。(転売ヤーの)フリーライドの側面を問題視していることが焦点となる」と分析する。