独身で子どもがおらず、兄弟もいないため相続人がいません。「相続人不存在」となると、ない財産が国庫に帰属されると聞きましたが、私の遺産はどうなるのでしょうかる! 「相続人不存在」の場合の手続きとは?
報道などによると、2022年度に、相続人がいないため最終的に国庫に帰属された金額は、過去最高額の768億円となったそうです。 この金額は、記録が残っている2013年度から9年連続で上昇しており、「相続人不存在」となるケースが増加していることを、如実に表しています。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる? この傾向は、生涯独身である方の増加(未婚化)や少子高齢化に伴う独居老人の増加などを背景として、上昇を続けていくものと思われます。本記事では、「相続人不存在」となる場合の手続きの流れなどについて、確認していきます。
相続人不存在となる要因のひとつ 「相続人不存在」
厚生労働省は、「50歳時の未婚率」の推移予測を公表しています。この数値は、50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合を示し、以前は「生涯未婚率」と呼ばれていました。
<図表1 50歳時の未婚割合の推移> 出典:厚生労働省「令和3年版 厚生労働白書-新型コロナウイルス感染症と社会保障-」 図表1-1-2 50歳時の未婚割合の推移 図表1のとおり、男女ともに未婚割合は継続して上昇しており、男性で約4人に1人、女性で約5人に1人が、生涯で一度も結婚していないことが分かります。 配偶者と子どもがいない状態では、ご自身が築いてきた財産を、次世代・次々世代に継承していくことが、原則としてできません。
相続人不存在の場合の財産の流れ
相続人不存在となった場合は、家庭裁判所から「相続財産清算人」が選任されます。選任には、被相続人の債権者・特別遺贈を受ける人等の「利害関係人」や検察官の申し立てが必要となります。 その後の主な手続きと公告等の期間については、以下のとおりです。 (1)相続財産清算人の選任(相続財産の管理や清算を行う) (2)家庭裁判所が被相続人の死亡の公告と、相続人捜索の公告を行う(6ヶ月以上) 相続人がいれば申し出るように求める。この公告でも相続人が見つからないときは、相続人不存在が確定する。 (3)債権申し立ての公告(2ヶ月以上) 相続人の申し出がない場合、被相続人の債権者や特別遺贈を受ける人に、名乗り出ることを求める。 (4)特別縁故者への財産分与の申し立て(3ヶ月以内) 相続人不存在が確定した後3ヶ月以内に、特別縁故者が財産分与を家庭裁判所に申し立てることが可能となる。特別縁故者とは、内縁の配偶者、被相続人の看護や介護を生前に行っていた人、遺言書はないものの財産の分与を口約束されていた人などを指す。家庭裁判所は申し立てに基づき、総合的に調査の上で財産分与の審判を確定する。 (5)財産の国庫への帰属 3ヶ月以内に申し立てがない、または申し立てが却下された場合には、最終的に財産が国庫に帰属される。 家庭裁判所は、上記の3つの公告(2)(3)(4)を6ヶ月以上の期間で定め、期間満了までに相続人が現れなければ、相続人不存在が確定します。