山車の廃材、アートに変身 新庄出身の芸工大生がイベント
新庄まつりの山車(やたい)を解体した廃材を、新たな作品に生まれ変わらせる「ハレのちハレ アート&デザイン展」が9日、新庄市のゆめりあで開かれた。阿部万友(まゆ)さん(21)ら新庄市出身の東北芸術工科大4年生4人でつくる団体が企画し、来場者が芸術を通して地域文化に触れた。 取り組んだのは阿部さんのほか、長沢紅葉さん(22)、山田胡桃(くるみ)さん(22)、安食音歩(のあ)さん(21)で組織する「アートプロジェクトチームStoS(トス)」。今回は阿部さんの卒業制作を兼ねて実施した。 山車は半年以上かけて参加団体が作るが、まつり後は解体し、一部廃棄している。その廃材を有効活用し、地域の理解を深めようと昨年から取り組んでいる。今回は千門町若連が協力。同若連が2023年に歌舞伎部門の最優秀賞を獲得した「歌舞伎十八番外郎売」と、今年の歌舞伎部門に出場した「二人道成寺」の2台の廃材の一部を譲り受け、作品として生まれ変わらせた。
イベントにはJR新庄駅の利用者や家族連れなどが多く訪れた。廃材を使って色付ける絵灯籠作りや、山車の花をレジンストラップにするコーナーなどを設けた。同市にゆかりのある722人の新庄の魅力や思い出がある場所をまとめた「新庄エピソードマップ」の冊子配布と展示も行った。それぞれの体験談を共有し、地域の魅力を再発見してもらう。 参加した新庄小3年の荒井啓さん(9)は「アートという形で山車の材料に触れてうれしかった。来年のまつりでまたかっこいい山車が見たい」。阿部さんは「新庄の中にある魅力を、まつりの廃材や他の人のエピソードなどから体感してもらえたらうれしい」と話した。