日本庭園で庭師こだわりのそばを 山口さん、熊野で開業 三重
【熊野】三重県熊野市紀和町平谷の山あいの集落に今月、日本庭園を併設したそば店「庭園 手打ち蕎麦(そば) 庭竜」がオープンした。元庭師の山口隆司さん(55)が、そば好きが高じて構えた店で「人生の再スタート」を切る。 山口さんは大阪府出身で高校卒業後、府内を中心に京都、奈良の料亭や寺社で数多くの作庭を手がけてきた。幼少期からの「そば愛好家」で、独学で打ち方などの研究を重ね、家族らに振る舞って腕を上げたという。 各地でそばを食べ歩いてたどり着いたのは「そばはだしが決め手」ということ。こだわりのだしは、羅臼昆布やカツオでだしを取り、調味料「かえし」を合わせて作ったつゆを使う。半日がかりの作業も惜しまない。 8年前、歴史と自然が息づく熊野三山に魅了され、紀和に移住したのを機に「自分で作った庭園を眺めながらそばを打ちたい」と開店を決意。空き家バンクで購入した築50年の古民家を3年がかりで全面改修した。 カウンター席には、熊野スギを原木から削った一枚板を採用。窓から木々や枯山水を望める。内装は古民家の趣を生かして料亭風に仕上げた。庭園には無料の飲み物を備えた待合所「待屋」もあり、散策を楽しめる。 そばはせいろやざるなどで提供。香りが高くきめが細かいという北海道余市産のそば粉を使っている。小天丼などの天ぷらは、県産のナスやシシトウで作っている。山口さんと三男(26)のおすすめはざるそばという。 開店を前に、山口さんは庭師を引退し、息子らが家業を継いだ。山口さんと三男は「夜になると庭園がライトアップされるのも見どころ。非日常の空間でそばを食べながらゆっくりと過ごしてほしい」と話している。 営業は午前11時―午後9時。月曜定休。席数22席。問い合わせは庭竜=電話0597(70)1147=へ。