「いったん受け入れたら原発がなければやっていけない仕組み」原子力発電所の再稼働が地元経済にもたらす恩恵とは 東北電力・女川原発2号機 宮城・女川町
それでも、国がエネルギー政策の大きな節目と位置づけた今回の再稼働。地元の経済にも大きな影響を与えています。 ■原発の安全対策工事で町は潤う? 去年4月に女川町内にオープンした宿泊施設「Swimmy Inn Onagawa」。当初、部屋を埋めたのは、町外から女川原発に働きに来た作業員らでした。鈴木伸輔総支配人は“特需”だったと話します。 Swimmy Inn Onagawa 鈴木総支配人: 「去年4月に開業して夏頃にめがけて稼働率でいうと9割という頃もあったので、本当にほぼいっぱいという時期が数か月続いた」 女川原発で働く人の数は、安全対策工事に伴いピークの去年7月にはおよそ5300人に上りました。町の人口にも匹敵する人が流入し一時、町の賑わいは増したものの、工事が落ち着いた今、働く人は半数以下にまで減っています。それに伴い、この宿泊施設の稼働率も半減しました。 Swimmy Inn Onagawa 鈴木総支配人: 「今まであった特需の要素がなくなった状態なので、今がいわゆる平時の状態だと思っている。これから観光、レジャー、スポーツの合宿などの客を取り込んでいくことが大事かなと思っている」 ■特需の恩恵とその後の落差とは ボリュームのある弁当が300円台から食べられるとあって人気の弁当店「すずきや」。震災前から、ほぼ毎日、女川原発に弁当を届けています。 すずきや 鈴木雅之代表: 「(原発のある)あの周りコンビニもないでしょ。店もないでしょ。ここで楽しみはこの弁当だけなんだよって(言われる)」 この店も特需の恩恵とその後の落差を実感しています。今、1日に200個ほど届けている弁当は、安全対策工事の期間は数倍の注文があったと言います。 すずきや 鈴木雅之代表: 「(東北電力、女川原発は)最大の企業ということで非常に重要だけど、問題点があって…。人員の数が変動する。安定的な需要というのが非常に難しい」 ■原発の地元経済への恩恵は一時的で部分的? 鈴木代表の言う人員の変動。脱原発を主張する東北学院大学の菊地登志子名誉教授は、原発が地元経済にもたらす恩恵は一時的かつ部分的と指摘します。