【漫画】スライムと人間の恋!?姿の違う相手を愛することは「見た目なんか関係ない」ではなくて...?【作者に聞く】
人間の男の子とスライムの男の子、姿が違う2人の恋を描いた「スライムだけど愛してる。」。作者は漫画家の清水幸詩郎(@smzk013)さん。「社畜ねこ」(COMICSポラリス)や、現在連載中の「『24点』と婚約破棄された令嬢は、隣国の王太子に完璧な花嫁と愛される」(COMICポラリス)では原作を担当するほか、SNSで個人の作品も発表し活動中だ。今回は、作品が誕生したきっかけや制作時のこだわりなどを清水さんに聞いてみた。 【漫画】本編を読む ■「見た目なんて関係ない」は違う?スライムと人間のロマンス 人間のなゆた君とスライムの泥沼君は、付き合って3カ月になる。「キス…してみない…?」と照れながらも声を掛けたなゆた君だったが、泥沼君は驚き動揺してしまう。そして、どうしてスライムの自分のことが好きなのかわからない、信じられない、と思っていたことを告白。「見た目なんて関係ないよ」となゆた君は言うが、泥沼君は「関係なくなんかない。こういう見た目なのが俺なんだ…!!」と走り去ってしまう…。 ■漫画誕生のきっかけは友人との会話から。「こんな姿だから自分なんだ。こんな姿の自分を愛してほしい」 スライムと人間の恋という異色の物語である「スライムだけど愛してる。」。作品が誕生したきっかけは何だったのだろうか。 「自分が人間ではない別の存在になってしまったという妄想の話を友人としたことがきっかけです。友人が自分と姿がまったく異なる相手(推し)への想いについて語ってくれたときに、私は『どんな姿でも愛するよ』というのが答えだと思っていたのですが、友人いわく『こんな姿だから自分なんだ。こんな姿の自分を愛してほしい』という心境だと知り、思いつきました」 いろいろな表情を見せるつぶらな瞳と、伸ばした手でなゆた君と手をつないだり、バスケをしたりする姿がかわいい泥沼君。人間と姿が異なる存在はさまざまあるけれど、なぜスライムを選んだのか、その理由を聞いてみた。 「最初はぬいぐるみなど、人間とは全く別の存在が何かないか考えていたのですが、『スライム』という幅広い層に伝わる共通言語のほうが一発で何かわかってもらえるかなと思い、試しに描いてみたらかわいかったのでスライムにしました」 ■「人であることが素晴らしいとは限らない」物語の構成で心掛けたこととは もしも現実の世界にスライムがいたとしたら…?きっと特別な目で見られているだろう。しかし、清水さんの描く世界では少し違う。今作では世界観をつくるときにこだわったことがあるそうだ。 「『みんなが当たり前に思って不思議に思わなくなっている不思議』というのが大好きで、スライムである『泥沼君』がスライムであることを揶揄されたりせず、ごくごく普通に社会に溶け込んで暮らしている、ごくごく普通の人であるということを強調したかったです。むしろスライムの子がクラスにいたら人気者かもしれないぞと思い、そう描きました」 私たちのイメージを覆す設定はほかにも。物語を読み進めるうち、泥沼君となゆた君の外見だけではない対照的な様子が描かれるが、そこにスライムだから、人間だからといった違いはない。 「『見た目』が主軸の話なので、性格や見た目のギャップだけでなく、見た目は人ではないけれど泥沼君の家の『一般的とされる温かな家庭』と、一見普通の男の子に見えるなゆた君の家の『殺伐とした環境』が対比するようにしました。人の姿であることが素晴らしいといったような話が多いので、そうとは限らないというお話を描きたかったです」 商業や個人で精力的に作品を制作している清水さん。最後に今後の展望と読者へのメッセージをもらった。 「商業でも漫画を描かせていただいているのですが、こうした数人の友人に喜んでもらえればいいという気持ちで描かせていただいた超個人的な漫画を読んでいただけるのは大変ありがたいです。これからも細く長くこんな感じの漫画を描いてSNSにアップしていくので、フォローしていただけたらうれしいです。お仕事も募集中です。よかったらお仕事ください。よろしくお願いいたします」 清水さんのこれからの作品も楽しみにしたい。 取材・文=松原明子