スケートボードの「神」を超えた10歳・河上恵蒔、天を仰ぐ姿に世界は震えた…Xゲームズは「ヤバい技決める」
「神の降臨」――。「X Games Chiba 2024」(Xゲームズ千葉大会)が千葉市の幕張メッセで9月20~22日、開かれる。ここで、伝説が生まれるかもしれない。今年、スケートボード界に衝撃を与えた男子バートの河上恵蒔(えま)が出場を決めたからだ。小学校4年生の10歳。「神の正統後継者」と感じざるを得ない、そんな逸話をもつ少年だ。(デジタル編集部 古和康行) 【写真】世界トップの大会では、サイズの違いが明らかになる
好きな給食のメニューは「焼き魚」
河上は、兵庫県神戸市に住んでいる。学校が大好きで、授業中に先生の質問に答えられるとうれしい。休み時間には鬼ごっこやドッジボールをすることにハマっている。好きな給食のメニューは「焼き魚」とちょっと渋め。学研教室にも通って、勉強にもぬかりない。
お父さんの竜平(りょうへい)さん(41)の運転する車に乗って、平日午後7時から10時前まで近くのパークで練習する。夏は暑いから休日も同じ時間に練習。週に4回ほどスケボーに乗っていて、インスタグラムにアップする動画が「『やばいね』『すごいね』とコメントされると、もっとすごいのを見せてあげたくなる」。
普通のスケボー好きの少年のようだが、そのコメント数が5000件を超えているとしたら? 賞賛の声が世界のトップスケーターからのものだったら? アメリカのテレビ局から「動画を使わせてほしい」というメッセージが届いたら? その緩やかに流れる日常からは想像できない激流の中に、河上はいる。
史上初の3連発
今年、河上がスケートボード界にインパクトを与えたのは「900」という大技を3連続で決めたからだ。スノーボードのハーフパイプのようなコースで空中に飛び上がって技を競う「バート」。この種目で大技として知られるのが空中で2回転半する「900」だ。河上はこの技を今年6月、初めて3回連続で決めた。「最年少」ではない、スケートボードの歴史上、「初めて」である。
900は「スケートボードの神」と呼ばれるトニー・ホーク(アメリカ)が1999年のXゲームズで初めて成功させた技だ。それ以来、すべてのスケーターの憧れのトリックとなった。今年、スケートボードの母国、アメリカのスポーツ専門局「ESPN」が「900誕生25周年」という企画を立ち上げたことからも、その技が“特別”であることが分かる。そして、この企画こそが河上の転機になった。