スケートボードの「神」を超えた10歳・河上恵蒔、天を仰ぐ姿に世界は震えた…Xゲームズは「ヤバい技決める」
世界にとどろく「エマ・カワカミ」の名
今年春、インスタグラムに投稿された河上の900の動画を見たESPNから「900の25周年の企画で河上の動画を使わせてほしい」とメッセージが入った。竜平さんは突然の連絡に戸惑いながらも契約書にサインした。ESPNからは「アメリカに来る予定はないか?」と尋ねられたが、そもそも河上には海外大会の経験もなかった。ESPN側はさらに「バートアラートには出ないのか?」と尋ねる。
「バートアラート」。正式名称は「トニーホークス・バートアラート」という。大会名の通り、トニー・ホークが主催する大会だ。出場条件は厳しく、箸にも棒にも掛からないはずだった。「出る予定はない」と答えたら、「主催者に聞いてみる」とESPNから回答があった。そこからしばらくたつと、バートアラートから連絡があった。「ワイルドカードで出場してほしい」と。
トニー・ホークの見守るこの大会で決勝に勝ち進んだ河上は、「900」を史上初めて3回連続で決めた。観客が沸き立つ中、「トニー・ホークに向かって、『やったよ』っていう感じで」河上は両手を突き上げ、天を仰ぐセレブレーションを見せた。そして、「たまたまやった」(河上)このセレブレーションが、トニー・ホークが過去に見せたそれと酷似していたのだ。レジェンドから極東の小学生へと受け継がれていく900。スケートボード業界に激震が走り、「エマ・カワカミ」の名前は一気に世界へと広まった。
過去2大会は「見学」
そんな河上がXゲーム千葉大会にお目見えする。河上にとってXゲームズは、「普段の練習では関わることのない、動画の中でしか見たことがない人たちが出る大会。ヤバいスケーターがたくさんいる場所」だ。
バートアラートで上位に入賞し今年6月にXゲームズ・ベンチュラ大会には出場したが、これまでのXゲームズ出場はこの1回のみ。2022年から始まった千葉大会は過去2回、見学に訪れていたという。憧れの大会に初出場する今回、「絶対にヤバい技を決めて、観客を沸かせたい」と意気込む10歳。「神」の技を進化させた小学生は、新たな伝説を打ち立てられるか――。