スイス中銀、再び利下げ-景気支援とフラン上昇抑制
(ブルームバーグ): スイス国立銀行(中央銀行)は、景気への足かせを緩め通貨フランの上昇を抑えるため、追加利下げに踏み切った。利下げに慎重な世界の中銀と対照的な動きとなった。
中銀は20日、政策金利を0.25ポイント引き下げ1.25%とした。決定について市場予想は別れていたが、ブルームバーグがまとめた調査では半数をわずかに上回るエコノミストが据え置きを見込んでいた。
ヨルダン総裁は記者会見で「基調的なインフレ圧力は前四半期に比べさらに低下した。二次的影響が幾分和らいだ」とコメントした。
決定発表後、スイス・フランは対ユーロで0.4%、対ドルで0.5%下落した。
スイス中銀は3月に主要先進国に先駆けて利下げを開始。そのアプローチを継続した。米連邦準備制度理事会(FRB)は今年の利下げ幅見通しを縮小したばかりで、欧州中央銀行(ECB)もすぐに追加利下げに踏み切ることには消極的だ。
リベラム・キャピタルの戦略・会計・持続可能性責任者、ヨアヒム・クレメント氏は「スイス中銀がECBより速く利下げをするのには明白な理由がある」とし、スイスの「インフレ率はユーロ圏よりもはるかに低くフラン安は輸出企業に追い風だ」と説明した。
「スイス中銀は果敢に行動しているが、2025年のインフレ加速というリスクを冒している」と付け加えた。
ヨルダン総裁は「欧州の政治的不透明」によるフラン高はスイスのインフレが高止まりするかどうかに関する不確実性を高めるとし、警戒を続けると述べた。「引き続き、外国為替市場で必要に応じて活動することを辞さない」とも表明した。
中銀はインフレ予測を引き下げ、2026年までの消費者物価上昇率は0-2%の目標範囲内に収まるとの見通しを示した。
インフレ率は今年が平均で1.3%、2025年は1.1%、26年は1%と予想している。
経済成長率は今年ほぼ1%、25年には1.5%程度に加速するとみている。
原題:SNB Cuts Rate Again to Aid Economy and Stem Gains in Franc (2)(抜粋)