引きこもり生活に競輪学校ドロップアウト… “陽キャレーサー”板根茜弥が歩んだ壮絶半生
日々熱き戦いを繰り広げているガールズケイリンの選手たち。今回クローズアップするのは、26日開幕のGI「オールガールズクラシック」に出場する板根茜弥選手(34歳・東京=110期)。お立ち台で熱唱するなど底抜けに明るいキャラクターで知られるが、これまでの人生は波乱万丈なものだった。
スピードスケートで頭角表すも、悲劇が襲う
北海道北見市出身の板根茜弥。大柄でスポーツ万能だった板根は、柔道やソフトボールなどの競技を経験。スピードスケートの名門・白樺学園高校に進学する。 数々の五輪戦士を輩出したハイレベルな環境に飛び込み、厳しいながらも競技生活は順調だった。しかし人生の歯車を狂わす出来事が起きる。 「高校2年のころ、いろんな選抜に選ばれそうなタイミングで交通事故に遭いました。命に別状はなかったけど、ろっ骨を6本、8か所骨折。『スケート人生終わった』と思いました」 不安は的中し、復帰後もスケートの成績は伸び悩んだ。
目標を失い、引きこもりに…
大学へはスピードスケートの推薦で進学したが、進学先での環境で苦しんだ。思うように競技に打ち込めず、生きる目標を失った板根はだんだんと家にこもるようになった。久しぶりに携帯電話の電源を入れると、北海道で暮らす姉から着信があった。 「お姉ちゃんが泣きながら『生きているの? 電話にも出ないから何かあったのかと思った。家族みんなで心配していたんだよ。今電話に出てくれなかったら、東京に行こうと思っていたんだよ』と…。そのとき、こんな自分のことでも心配してくれる人がいるのだからちゃんとしないとって思ったんです」 そして、スピードスケートには区切りをつけることを決断した。
続いた偶然「競輪見に行こうよ」
競技生活に区切りを付けて、幼少期からの夢である警察官を目指した。気持ち新たに大学にも通い、アルバイトも始めた。 「立川でふと目に入ったのがカラオケスナックのバイト募集。歌うことが好きだったので、いきなり押しかけ即採用された(笑)。そのお客さんのひとりが『競輪見に行こうよ!』って声をかけてくれたんです。そのときは競輪のことを知らなかったし『ハードル高いな』と思っていたんですけど」 結局そのとき競輪場には行かなかったそうだが、パチンコ店でアルバイトを始めると偶然が重なった。 「パチンコ屋の制服が私の太い足が強調されるようなミニスカートで (笑)。それを見たお客さんから『お前、いい足しているなあ。一緒に競輪見に行こうよ』って言われた。こんなに競輪、競輪って声かけられるなんて縁があるのかなと思って、このときは見に行くことにしたんです」