塚原あゆ子監督、UDI・4機捜メンバーとの絆「会わないうちに“お母さん”に」 新作『ラストマイル』に込めた思いとは
■ドラマに続き主題歌担当する米津玄師は「キャストの1人」
――『アンナチュラル』『MIU404』に続いて、今回も主題歌は米津玄師さんです。 塚原:食事の場などプライベートで会ったことはあるんですが、「Lemon」や「感電」を作る時には会っていないんです。面識はもちろんあったんですけど、お仕事として会うのは初めてで。「どういう曲がやりたいですか?」とか「どういう曲にしましょうか」なんて、米津さんと喋る日が来るとは思いませんでした(笑)。 ――今回直接お仕事の場でお話してみていかがでしたか? 塚原:米津さんと喋ったことでインスピレーションというか、すごく刺激を受けて現場の絵作りをしたので、「わあ、いいことあったなあ、会ってよかったなあ」って思いましたね。 ――『ラストマイル』主題歌「がらくた」のサビの歌詞は、物語ともつながっている印象を受けました。初めて楽曲を聞いた時、率直にどう思われましたか? 塚原:「大事なものが詰まってるな」って感じがしました。映画ならではの、エンドロールが流れる間の時間をこの曲を聞いて過ごしてもらえるのは幸せだなと思いますね。あの曲を聞くだけでも映画館で見る価値があると思います。 ――ドラマでは、毎度良いところでバンと曲がかかっていて、物語の1つの要素になっている印象でした。映画ではエンドロールとともに曲が流れます。 塚原:あまりそこには変わりがなくて。米津さんもキャストの1人って感じなんですが、テレビだったら、例えばタイトルベースという主題歌用の映像を作るよりはもっと作品に登場してもらいたい、作品の中で歌ってもらいたいからねじこむんです。でも映画は主題歌も含めて最後の味わいなので、ロジック的には全く同じことをやっているつもりでやっています。「読後感にどう作用するか」が同じなので。映画は、エンドロールまで見てもらってあの間合いとあの余韻まで含めた状態で“終わり”という文化なので、そういう意味ではまったく同じです。 ――確かにエンドロール中「がらくた」を聞きながら、「ずっとここに居たいな」と思いました。 塚原:最後のキャストが今出演したなという感じがします、米津さんが歌い出すと。 ■『ラストマイル』に込めた思い「すべての仕事に敬意を払う優しい世界であってほしい」 ――この世界を再び見られることを楽しみにしているファンの方、『ラストマイル』でこの世界を初めて味わう方にメッセージをいただけますか? 塚原:基本的には(3作品は)まったく別の作品。「ラストマイル」(配送の最終拠点から客へ荷物を届けるまでの区間を意味する)って言葉自体、知らない人も結構いると思うんです。荷物を届けてくれる人たちの顔を覚えていない世界の中で、「お世話になってるな」ってすべての仕事に敬意を払う優しい世界であってほしいというメッセージを込めています。楽しく見てほしいし気軽に来てほしいけど、何か受け取ってもらえるものがあれば幸いです。(取材・文:小島萌寧) 映画『ラストマイル』は8月23日公開。