韓ドラ史上最高額の制作費1000億ウォン。ベールに包まれた『イカゲーム2』配信スタート
韓国ドラマ史上最高額の制作費
おそらく俳優たちも、ストーリーを詳しくは把握できていないのだろう。 報道によると、俳優たちには自分が出てくるシーンの台本だけが紙ではなくファイル形式で渡されたという。加えて、撮影現場では先輩やスター俳優だからといって優遇されることなく、誰もが長時間の待機を強いられたというから、すごい徹底ぶりだったようだ。 それもそのはず。『イカゲーム』のシーズン2、3は、韓国ドラマ史上最高となる1000億ウォン(約160億円)の制作費が投じられた。しかも、それは主演俳優たちのギャランティを除いた金額だという。 シーズン1の制作費は253億ウォン(約26億8600万円)だったが、今回は劇中に出てくる賞金「456億ウォン」を遥かに上回る制作費で大型プロジェクトに臨んだわけだ。 だからネタバレなんてもってのほか。俳優ヤン・ドングンが「ピリピリした現場だ」と言っていたことから、普通のドラマ現場とは違った雰囲気で撮影が進んだことがうかがえる。
人間に希望はあるのか
シーズン2に出てくるデスゲームの内容やストーリーは見てからのお楽しみとして、他に注目すべき部分は何か。 取材陣を対象にした撮影現場の見学イベントでファン監督が挙げていたのが「社会風刺」だ。彼は次のように話している。 「現在、世界的に紛争が起きていて、韓国内でも世代、地域、ジェンダー間の葛藤など、至る所で対立が生じています。自分とは異なる集団を否定し、白黒をつけ、攻撃し合う。そんな姿が多く見受けられます。こうした現状を風刺する要素として、ゲームの参加者たちがOとXのボタンを押す投票システムをシーズン2の重要なテーマの一つとして取り入れました」 シーズン2でファン監督が投げかけたいのは「我々人間に希望はあるのか」ということ。競争が激しく、格差が広がる社会のなかで人間の倫理や道徳は依然として有効で、持続可能なのか。ドラマが明確な答えを示してくれるわけではないが、一石を投じることは間違いなさそうだ。 年末年始、過酷なデスゲームによって倫理性が試される参加者たちを見ながら、私たちの希望について考えをめぐらせてみるのも悪くないかもしれない。