正月彩る農産物の今 おせちの「チョロギ」 国産はどこに?
需要は堅調も…拡大には課題
JAに改めてチョロギの生産状況を取材すると、国産の引き合いが強まっていることが分かった。 JA豊肥営農経済センターの後藤泰輔係長は「国内流通分のほとんどが中国産。だが、中国産食品の異物混入などを受けて、大手の漬物業者から『国産を仕入れたい』という連絡が相次いでいる」と話す。 右肩上がりの需要に応えるため、JAは2017年から本格的な生産拡大に乗り出した。農家に出荷を促すため、買い取り価格を上げており、24年は1キロ当たり800円に設定した。 現在の買い取り価格の水準は、農家の栽培意欲を高めている。収穫時は、根の可食部を一つずつ手で外さなければならない。記者が取材した松尾さんは「真冬の作業は手がかじかむ」というが、それでも栽培を続ける理由を「単価がいいから」と話す。 チョロギはかつて自家用に畑の隅に植えるような作物で、農家ごとに種まきの時期や収量に差があった。作型を統一するため、JAは栽培マニュアルを作成。現在は35人が栽培する。 新規生産者への苗の提供などを始めた18年、生産者数は前年の28人から40人と大幅に増加。集荷量は5トンを超えた。その後も生産者は増え、豊作に恵まれたり、大規模生産の参入があったりして、集荷量がさらに増えた年もあった。近年、生産者数はピーク時を下回るも、需要が堅調なこともあって、集荷量は5トン台で推移している。 JAは年間生産量10トンに引き上げたいと考える。ただ、管内のチョロギ生産者は70代が中心。高齢農家が多く、現在の栽培規模をさらに広げるには限界があるという。 そのためJAは、現在の生産者の維持と、新たな生産者の開拓に着手。省力化のため、収穫後、根に残したチョロギから芽を出して、もう一度収穫する栽培方法を試験。昨年末、初収穫を迎えた。 JAの後藤係長は「チョロギは生命力が強い。塊茎の生育を確認しながら導入を検討したい」と構想する。 (高内杏奈)
日本農業新聞