日本にわずか2台の「ブリストル 406」が東京を疾走!「何というクルマですか?」と尋ねられることも…故・川上 完さんの愛車は今も元気です
名機ブリストル6気筒を搭載する最終モデル
現在、筆者は自動車ライター業のかたわら「ブリストル研究所」なるクラシックカー・ディーラーにおいて「主任研究員」を拝命している。 同研究所は、ブリストルのオーナーとなった顧客とともに「研究」しながら、ブリストルの創った素晴らしいクルマたちを日本の自動車通人たちに少しずつ知らしめていこうと目指したもので、創業者兼所長はもともとロールス・ロイスおよびベントレーの世界的ディーラー兼コレクターとして知られ、かつて埼玉県加須市に「ワクイミュージアム」を開設した涌井清春氏である。 そして今回の「第18回コッパ・ディ東京」では、イベントの数カ月前にブリストルのV8モデル「410」を購入していただいたばかりのお客様と隊列を組むかたちで、当研究所のシンボルともいうべき1台、1961年式のブリストル「406」を出走させることになった。 1958年に発表されたブリストル 406は、名機ブリストル6気筒を搭載する最終モデルにして、ブリストルがより高級志向にシフトするターニングポイントとなったモデルでもある。重厚なスタイリングや豪華さを増した装備にもかかわらず、エンジンをそれまでのブリストル各モデルの2.0Lから2.2Lに拡大することでドライバビリティを向上させたうえに、世界で最も早い時期に4輪ディスクブレーキを備えた乗用サルーンのひとつとなるなど、依然として「ファン・トゥ・ドライブ」を追求していたことは、当時の識者からも大いに称賛されたという。
故・川上 完さんの愛車として有名な個体
いっぽう、今回筆者が乗ったブリストル 406は、今をさること10年前、2014年に67歳の若さで逝去された自動車評論家、故・川上 完さんの愛車として、これまで国内の自動車メディアにも数多く登場してきたことから、一部のファンの間では有名な個体。クルマだけではなく航空機のマニアでもあった川上さんはスバル「360」や三菱「ジープ」、サーブ「96」など出自を航空機にさかのぼることのできる自動車メーカーの創ったクルマたちにこだわり、その集大成となる1台として406を入手されたという。 そんな逸話を持つこの個体は、かつて熱心なファンたちに愛されてきた「完さん」とともに、国内各地のイベントにも参加されていたことをご記憶の方も多いことだろう。 現在この406は、亡き完さんのご遺族から託されるかたちでブリストル研究所が保有しているが、この日は同研究所の涌井代表がベントレー「4 1/2 Litre」、通称「オールド・マザー・ガン」で出場することになっていたため、筆者にドライバーのお鉢が回ってきた。
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