念願の宇宙軍事ビジネスへ…政府委員にはキヤノン御手洗冨士夫ら経団連の重鎮たち【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】
【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#18 政治のみこむ軍産複合体(5) ◇ ◇ ◇ 小泉進次郎氏こそ宇宙人?「UFO議連」設立で過去の“トンデモ語録”に再脚光! 米国のアポロ11号が初めて月に着陸したのは、1969年7月。その2カ月前、日本の国会では「宇宙の平和利用」を全会一致で決議した。 だが37年後の2006年6月、経団連がこの決議は安全保障にとって邪魔だと批判する。以下、<わが国の宇宙開発利用促進に向けた提言>から。 「テロ、ミサイル攻撃の脅威といった安全保障をめぐる環境変化、大規模災害、環境問題への対応など、国民の安全・安心の確保がますます重要となっている」 「宇宙からの観測・監視・測位などを通じた有益な情報の迅速な入手は、安全保障・危機管理に不可欠である」 「この障害の一つとなっているのが、わが国の宇宙利用を『非軍事』に限定した1969年の宇宙の平和利用に関する国会決議である」 経団連の提言から2年後、08年には宇宙基本法が成立し、宇宙の軍事利用が可能になった。国会での審議時間は、たった4時間だった。
09年度予算で防衛省は初めて158億円の宇宙予算を計上
新設の宇宙開発担当相には、岸田文雄が就任。政府の宇宙開発戦略専門調査会には、経団連会長でキヤノン会長の御手洗冨士夫、トヨタ自動車社長の渡辺捷昭、みずほフィナンシャルグループ社長の前田晃伸が入った。 09年度予算では、防衛省は初めて宇宙予算を計上。158億円だった。 経団連の抜け目がないところは、法律ができただけで安心せず、次々と提言を繰り出していくことだ。09年2月に<戦略的宇宙基本計画の策定と実効ある推進体制の整備を求める>、同年5月に<宇宙基本計画に関する意見>を出した。 10年4月には、<国家戦略としての宇宙開発利用の推進に向けた提言>を発表。宇宙開発が安全保障に貢献することが重要だと説いた。 「北東アジア情勢が依然として緊迫するなかで、地球を広域で観測できる宇宙の特性を安全保障へ活用することが有効である。宇宙からの眼、耳を使って警戒・監視、情報収集を行い、危険を一刻も早く察知することが重要であり、即応型宇宙システムの構築が不可欠である」 =敬称略、つづく ▽渡辺周(Tansa 編集長) 日本テレビを経て2000年に朝日新聞入社。17年にワセダクロニクル(現Tansa)を創刊、電通と共同通信社の癒着を暴く「買われた記事」で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」。寄付で運営し非営利独立を貫く。ご支援を!