宗教行事をイベントに ── イースターで消費喚起したい企業はSNSを狙う?
ホームパーティー拡大のキーになるのは、SNS?
日本でイースターは定着するのでしょうか。「マイルドヤンキー」「さとり世代」などの言葉を生みだした若者の消費性向に詳しいマーケティングアナリストで、多摩大学非常勤講師の原田曜平さんは、イースターにホームパーティーを楽しむ文化の拡大には「SNSが大きなカギを握る」と指摘します。 SNSが世の中のムーブメントを加速させた代表的な例が、ハロウィン市場の急速な盛り上がりです。ハロウィンの推定市場規模(日本記念日協会調べ)は1345億円でバレンタイン(1340億円)を超えたと言われていますが、その原動力となっているのが、コスチュームによる仮装を楽しむ人の増加だと言われています。 SNSでたくさんの反響を得られる可愛い写真を自身のツイッターやインスタグラムなどに投稿するために、友人・知人同士で集まって仮装を競い合ったことが、市場の活性化を後押ししたと言えるのではないでしょうか。 イースターについても、ホームパーティーのために用意する綺麗に盛り付けた料理やカラフルにペイントしたイースターエッグ、ウサギのコスチュームなど“SNS映え”する要素は多く、こうした楽しみに目を付けるSNSユーザーが増えれば、イースター市場は一気に拡大する可能性があります。 この点について原田さんは、「若い人達からは、“SNSにアップするために遊ぶ”、“インスタ(インスタグラム)映えがすることが大切!”との声をよく聞く。イースターのモチーフである『うさぎ』や『たまご』はわかりやすく可愛らしいため、SNS映えする点が人気になりやすいのではないか」と語っています。 日常的にSNSを使って発信している若い人の中には、「いかにして自分を良く見せるか」という点に強いこだわりを持っている人が少なくありません。 自分自身を可愛く見せるために自撮りアプリや写真加工アプリを活用しているだけでなく、自分が“リア充”(リアル=日常生活が充実していること)であることをアピールするために様々な“ネタ”を探しています。こうしたニーズにホームパーティーは最適なのかもしれません。 冒頭で紹介したTokyo Flamingoの調査では、イースターにちなんで行ったことの中で「友人と一緒にパーティーをやった」という割合は12.5%とまだ少数でした。消費者にとっての定番イベントとして定着するかどうか、企業の挑戦は今後も続きそうです。 (執筆:井口裕右/オフィスライトフォーワン)