復帰を決めた真央の前に立ち塞がる壁
2014年のソチ五輪、世界選手権以降、休養に入っていた浅田真央(24)が18日、現役復帰を発表した。この日、ブログで発表した後、都内で予定されていたアイスショーの会見で、本人の口から、しっかりとした言葉で、現役続行の意思が明らかにされた。もう気持ちは、「ハーフ、ハーフ」と揺れ動いているものではなく「100パーセント」と断言した。そこには固い決意があふれていた。 それでも、どの大会で復帰するかの目標は定めておらず、3年後の平昌五輪についても「今は考えていない」という。現在の目標は、昨年3月に埼玉で開催された世界選手権で優勝した競技レベルまで肉体と技術と心の状態を戻すこと。「この先は何があるかわからない」と、現役復帰に向け、すでにトレーニングはスタートさせているが、競技会の出場そのものについては含みをもたせた。復帰大会の目処がつき次第、改めて会見を設ける予定だという。 真央がいなくなった、この1年の間に世界の女子フィギュア界の勢力図も様変わりした。ロシア勢が席巻。ジャンプ技術が飛躍的に伸びて、ロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワ(18)は、真央の代名詞だったトリプルアクセルに成功。トリプルアクセルは、もうスペシャルな武器ではなくなっている。 そのあたりの事情は、浅田も承知していて「トリプルアクセルが跳べるということを強みにしてきましたが、時代と共にジャンプレベルも上がっています。それに追いつけるように練習をしているんですが、それだけではありません。今、私は24歳で、スケート界の中ではベテランに入っています。ジャンプ技術を落とさないことも目標ですが、それだけではなくて、大人の滑りができればいいなと…なんていうんですかね、自分の滑りを見てもらいたいなと思います」と語った。 では、1年のブランクを作った浅田は激変している今のフィギュア界で通用するのだろうか。もっと言えば、3年後の平昌で悲願の金メダルを獲得することができるのだろうか。元全日本2位で現在、インストラクターとしても活躍中の中庭健介氏は「再び世界のトップレベルで戦える可能性はある」と見ている。 「喜ばしいニュースです。気持ちが重要だと思っていたのですが、1年間、心を静養させ、意欲が固まっているのならば楽しみです。アイスショーは、リンクの広さ、プログラムの内容なども大きく違っていて競技との差は大きいですが、そこで滑っていますから1年が大きなブランクだったわけではありません。技術は、衰えませんから、むしろ、魅せることを覚えたプラス面が大きいでしょう。競技から離れてこそ気がつくことがあります。 ランキングを残すには、2年半の時間が必要ですから、おそらく16-17年シーズンからGPシリーズに本格的に復帰して、五輪を目指す考えではないでしょうか。その意味で、この時期に復帰を決め、取り組み始めるのも、いいタイミングだったと見ています。いくつかのクリアしなければならない条件さえ満たせば、簡単ではありませんが世界と戦えると思います」 中庭氏が、指摘する超えなければならない壁のひとつが、ジャンプ技術だ。