アランマーレ秋田の大物ルーキー樋口鈴乃…背番号74に込められた中学時代の約束
中学時代のチームメートである日立ハイテク・國井の存在
樋口は、バスケット王国ともいえる福岡県でバスケットを始めた。福岡市立長丘中学校のときは県でベスト4となったが、上位2チームまでしか九州大会に進めなかったため、全国大会や九州大会を経験したことはなかった。このとき、同級生でチームメートだったのが今回対戦した日立ハイテクに同じく今シーズンからプレーする國井仁奈梨だ。「毎日一緒にいた」(樋口)という2人は、このころ、「一緒にWリーグに行けたらいいね」と、目標を語り合ったという。 中学卒業後は、樋口が精華女子高校、國井が中村学園女子高校と、同じ福岡県のチームではあったものの、別の道を歩むことに。樋口はこの高校時代に、大学でもともに日本一を目指す三浦と出会う。三浦の1対1のスキルを見ながら学んだことや、高校の恩師である大上晴司コーチからの指導で「1対1やハンドリングが良くなったと思います」と、振り返る。 三浦とともに精華女子の柱として戦った3年間。3年生のときにはインターハイ、ウインターカップともにベスト8という成績も残した。そして、進学した白鷗大では頼もしい仲間とともに4年生のときには春のトーナメント戦、秋のリーグ戦、そしてインカレを制した。中でも4年生のインカレ決勝では、3年間決勝で敗れてきた東京医療保健大学を相手に21得点と爆発。チームを日本一へとけん引した。 一方の國井も名門の愛知学泉大学に入学すると、下級生のころから試合経験を積み、大学界の注目選手の一人という存在へ成長する。大学時代も福岡に帰省したときには会っていたという2人。中学時代から掲げていた目標がブレることなく、今年、2人そろって念願のWリーグ入りを果たしたのだ。 2人が大学時代から付けている背番号の『74』は、中学時代に國井が『7』、樋口が『4』を付けていたことから来ているという。そしてWリーグでもこの『74』を背負う。チームは違えど、國井とはこれからも目標を共有し、時に刺激し合う仲であることは変わらないだろう。 「(今シーズンは)18得点10アシストを目標にしているので、その中で得点とアシストのバランスが取れれば。あとは…(苦手な)左ドライブを練習したいと思います(笑)」 笑顔の似合うアランマーレ秋田のエースは、来たる1年目のシーズンに向けて気持ちを新たにしていた。 文=田島早苗
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