KKR、「CCC」ローンを購入-スプレッド重視すれば機会逃すと指摘
(ブルームバーグ): クレジット投資家は「スプレッドに注目し過ぎ」ており、より高い相対的価値を見いだせる低格付けの掘り出し物を見逃していると、米プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社KKRは指摘した。
KKRのクレジット・マーケッツ共同責任者クリス・シェルドン氏とディレクターのタル・レバック氏は、「クレジットにおいては、スプレッドがどこまでタイト化するのかにかなりの注目が集まっている」と電話インタビューで指摘。「この市場では説得力ある相対的価値があまり明白でなくなっており、チャンスが限られていると考える向きが多い」と述べた。しかし現実には、明白でないだけで、多くの機会がまだあると、両氏は続けた。
同社のマネジングディレクター、クリス・ノベル氏と共同執筆した17日公表の顧客向けリポートによれば、KKRは格付け「CCC」のローンを購入している。リスクテーク意欲がそれほど強くないファンドマネジャーはこうしたローンを「処分」しているという。市場から需要があまりに失われてしまったため、CCC市場の一部は「売られ過ぎ」の状態だと、シェルドン、レバック両氏は話した。
最近見られるCCCローン売却の一因は、「AAA」格付けでタイト化が進む中、ローン担保証券(CLO)のリセット(再構成)件数が増加していることだと、同リポートでは説明。エクスポージャーをポートフォリオの7.5%限度内に戻すべくCLOにおけるCCCバスケットの「リスク解消」が促されており、チャンスを狙うクレジット投資家にとっては「明白でない、説得力のある」リスクリワードが生じているという。
米金融当局がコスト上昇を抑えるために金利を高めの水準で維持する中、米景気はこれまでのところ驚くほど持ちこたえている。しかし、弱さの兆しも見え始めている。6月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は、予想外に7カ月ぶりの水準に低下。米国の製造業活動は5月に縮小ペースが加速した。世界各地での選挙や地政学的な緊張によるリスクは見通しを曇らせている。