「いじめられ役」に徹するほうが好都合…失職した斎藤元彦前知事が"味方ゼロ"の演出を続けるしたたかな理由
■「孤立無援」の斎藤氏を止められるか 斎藤氏は高校生の「手紙」をあえて読み上げなかった。 しかし、これからの選挙戦略では川勝氏と同様に、斎藤氏も「どんなにいじめられても兵庫県政を改革する政策を進めてほしい」などと高校生の感動的な「手紙」を読み上げるかもしれない。 斎藤氏は着々と選挙準備を進めてきた。 しかし、知事選で当選したとしても、不信任決議を突きつけた県議会の顔ぶれは全く同じであり、両者の深い溝は埋められない。 だから、再選を果たしたとしても、県議会はあらためて、「道義的責任」をあいまいにした斎藤氏に不信任決議を迫ることができる。 しかし、「伝家の宝刀」は抜いたばかりであり、選挙戦に負けたあと、再び、抜くのにはそれなりの理由が必要となる。 そんなみっともない事態を招かないよう、県議会は斎藤氏を打ち負かすために相乗りとなっても強力な候補を立てなければならない。独自候補を立てれば票は分散し、斎藤氏を利する可能性は高まる。 県議会が全会一致となって、「孤立無援」の斎藤氏の再選を阻止できるのかどうか、非常に難しい状況となってしまった。 ---------- 小林 一哉(こばやし・かずや) ジャーナリスト ウェブ静岡経済新聞、雑誌静岡人編集長。リニアなど主に静岡県の問題を追っている。著書に『食考 浜名湖の恵み』『静岡県で大往生しよう』『ふじの国の修行僧』(いずれも静岡新聞社)、『世界でいちばん良い医者で出会う「患者学」』(河出書房新社)、『家康、真骨頂 狸おやじのすすめ』(平凡社)、『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』(飛鳥新社)などがある。 ----------
ジャーナリスト 小林 一哉