エアレース総合Vの室屋が凱旋帰国「未来は思い描くから現実になる」
8大会中4大会で優勝を果たしたが、そこまでに、いくつもの奇跡が重なった。 「奇跡的なことが起きた。運、不運もどっかにある、実力だけではとれない。今年はラッキーだったかもしれないが、奇跡は作るもの。機体制限やルールがあり、実力が飛びぬけられない世界だが、いろんな材料が揃ったときに、がんばって、がんばりぬいて、ちょっとした運があれば(優勝に)届く。その空気を作って応援してもらうファンベースが大きくなると、いろんなことが、ほんのちょっとの作用で起きるんです」 室屋は、奇跡は作るものだ、と言った。 そして、「未来を思い描くから現実になる。描かない未来は起きない。成功したから自信がついたのではなく、自信がついたから成功した」という名言を残した。今シーズンの初めに室屋は、総合優勝を公約に掲げて、それを見事に達成してみせただけに、説得力のある名言に聞こえた。 次なる目標はV2である。 「1995年から、操縦技術世界一を目標に掲げた。その目標は今も変わっていない。今年の能力があれば、優勝にちかい状態をキープできる。満足のできるフライト、技術を満足できるまでに極めていくとV2は目標になると思う」 すでにカリフォルニアの整備基地に愛機を入れ、機体改良がスタートしているという。 だが、過去に連覇を果たしたのは、2015年を限りに引退したポール・ボノム一人だけ。それだけ難解な偉業とされている。 「まだ予選が乱れたり、総合優勝のトロフィーに3度、名前が刻まれているポール・ボノムの秀でた技術には、追いついていない。その技術というものを、まだまだ追い続けたい。これ以上に追えばV2になる」 室屋はV2を果たす具体的な条件をこう加えた。 「もうちょっと楽にいきたい(笑)。今年は4勝で大量得点を稼いでの優勝だったが、こういうことはなかなか起きない。もう少しコンスタントに2、3位でポイントを積み重ねる安定感というものを作っていく必要がある」 2025年までに地元福島でのエアレース開催を実現したいという夢もある。 室屋の思い描く未来と夢ーーー。 「続けていればチャンスは転がってくる。夢は叶わないという人も多いが、そこに向かって進んでいれば、そのうち叶う。真剣にやっていると夢が現実的に手の内に入るんです」 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)