【#佐藤優のシン世界地図探索83】石破首相の路線と戦略は間違いない!?
ウクライナ戦争勃発から世界の構図は激変し、真新しい『シン世界地図』が日々、作り変えられている。この連載ではその世界地図を、作家で元外務省主任分析官、同志社大学客員教授の佐藤優氏が、オシント(OSINT Open Source INTelligence:オープンソースインテリジェンス、公開されている情報)を駆使して探索していく! * * * ――衆議院選挙で与党自公は215議席で過半数割れ、立憲民主は148議席と大躍進でありました。石破茂首相の路線は正しかったのでしょう? 佐藤 石破さんの路線は基本的に間違っていません。要するに、自民党はいままで長く権力に就きすぎていたため、相当腐った部分がありました。そして、それをどこかで処理しないといけませんでした。 考えてみましょう。もし、裏金議員に手を付けずに、岸田政権のまま選挙を行なっていたら、もっと負けていたと思いますよ。 ――そりゃそうです。 佐藤 そして、石破さんが裏金問題に手を付けていなかったら、やはりもっと負けていました。 ――100議席を切っていたかもしれない? 佐藤 その可能性は十二分にあったと思います。石破さんの基本路線は正しかったんですが、問題は選挙中にあった「しんぶん赤旗」報道(10月23日)ですよ。 ――非公認の衆院選候補の党支部に2000万円支出していた問題でありますね。 佐藤 そうです。それが決定打でした。もしその報道がなければ、過半数に達していたでしょう。 ――共産党にやられてしまった? 佐藤 そうです。だから、石破さんの基本路線は二重の意味で正しくて、戦術的にも正しいんです。 ――なるほど。 佐藤 日本国家全体を見た場合、戦略的には自民党内の変な人たちを淘汰しないとなりません。なので、それを実現すると言っていた立民の野田(佳彦)さんの路線も正しいわけです。今回、共産党が213ヵ所から候補者を立てたのは"立憲潰し"ですよね? ――そうです。 佐藤 共産党は10月23日に2000万円報道を爆発させましたが、この爆弾は共産党に裨益しませんでした。共産党は議席数を10から7に減らしています。だから、今回もっとも敗北したのは共産党ですよ。200カ所以上で候補を立てたから、供託金の数億円は没収されます。 あの2000万円問題の情報は、自民党の中にスパイを送っていないと取れない情報です。アドバイザーという形でスパイを入れているから得られたわけです。 共産党は総力戦を仕掛け、自民から流れた票が共産党に来るかと思ったら、来ないで票を減らしてしまった。結局、その分はれいわ新撰組と立民に流れたという結果でした。 ――ですね。