LGBTQを肯定する高齢者施設で見た“一歩先の世界” 孤独や貧困どう解決?【記者が語るジェンダーニュース】
白川プロデューサー 「『施設内に医療機関がある』というのは安心ですよね。しかもHIVというのは、初めての医療機関で打ち明けるのは結構、勇気がいることです。どういう反応をされるかっていうことを不安に思う方も多いと思いますが、こういう施設の中にオープンに話せるかかりつけ医がいるって、素晴らしいですね」 末岡支局長 「あと、実は入居者のお手伝いをする『ケースワーカー』の方たちも、4分の3くらいLGBTQの当事者の方でした。なので、すごく皆さんが心を開いていて、何でも話しやすい、相談しやすい雰囲気がありました」 白川プロデューサー 「日本において、LGBTQ当事者かということをオープンにしているケースワーカーさんがどの程度いらっしゃるか…僕もほぼ聞いたことがないので、そういう面もかなり違うなと思いますね」
■“施設の中では当たり前”から“みんなが当たり前”になるように
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白川プロデューサー 「末岡さんがこの施設を取材してみようと思ったきっかけというのは、どういうものだったんでしょうか?」 末岡支局長 「2005年…今からもう10数年以上前の話なんですけれども、映画『メゾン・ド・ヒミコ』』を見たんですよね。オダギリジョーさんと柴咲コウさんが主演された映画で、ゲイの老人ホームを舞台にした映画でした。“日本にこんな施設って、まだないよな…アメリカにあるのかな?”と思って、気になっていた中、実際にアメリカに駐在して、こういった高齢者施設があるというのを目にしたんです」
白川プロデューサー 「私も、日本でこの点について特化した施設というのはまだ見聞きしたことがないですね。もちろん、当事者の方たちの中には『自分たちが“老後”と言われる時間を迎えた時に、こうした施設だったり、サポートがあったらいいね』というコンセプトで活動している方たちはいらっしゃるんですが、実際の施設というところにはまだ着手していないと思います」 「いろいろ違いはあるなと思うんですが、例えば医療機関で私たちLGBTQ当事者が受診することを想定したガイドラインのようなものが広く共有されているか…っていうと、やっぱりそうではないですし、『病院に入院します』『同性のパートナーです』と言った時に“何ですか。それは!?”というような反応を受けたりとか、“それでは病状についてお話できないんで、血の繋がった親族の方を呼んでください”みたいなことが、いまだに日本では起こっていて、そういったことがなかなか改善されない背景のひとつには、目に見える当事者の方たちの声がまだまだ届きにくい状況があります」 「そういったものが、もっともっと広がっていくと、“高齢者施設においても、こういったものが必要だね”という動きにつながっていくのかなと思います」