LGBTQを肯定する高齢者施設で見た“一歩先の世界” 孤独や貧困どう解決?【記者が語るジェンダーニュース】
日テレNEWS NNN
米・テキサス州にLGBTQを肯定する高齢者施設があります。取材したNNNニューヨーク支局の末岡寛雄支局長と、ゲイ当事者で、性的マイノリティーの取材経験が豊富な白川大介プロデューサーが「性的マイノリティーの老後」について深堀りトークしました。
■LGBTQを肯定する高齢者施設 必要な背景に“LGBTQ特有の課題”
末岡寛雄支局長 「2月上旬に、アメリカ・テキサス州にある『LGBTQフレンドリーの高齢者施設』を取材しました。62歳以上の入居者112人あまりいて、約半数はLGBTQの当事者という施設だったんです」 白川大介プロデューサー 「こちらは『news every.』でも放送されまして、私も見ました。アメリカでは、こういう施設が広がってきているんですか?」 末岡支局長 「そうなんですよね。実際に全て調べ切れているわけではないんですが、各地にこうした施設があり、私たちが今回、取材したのは全米で最大規模の施設です。LGBTQを肯定する施設なんですが、だからといって入居者全員がLGBTQというわけではなく、だいたい入所者112人の半分近く…50人ぐらいがLGBTQの方たちです」
白川プロデューサー 「なぜ、あえて高齢者施設で『LGBTQフレンドリー』というのを打ち出すことが必要なのでしょうか?」 末岡支局長 「それは、性的マイノリティーが高齢者になった時に直面する可能性が高い“特有の問題”というのが、いくつかあるからです。例えば、ひとつは『孤独』です。子どもがいないという方が多いので、高齢になった場合に介護してくれる人がいなかったり、頼れる家族が身近にいなかったりする方が多いと言われてるんです」 白川プロデューサー 「今の日本の状況だと、LGBTQ当事者で子育てをするというのは、まだまだ事例が少ないので、そのまま高齢期を迎えると、少なくとも子どもとして頼れる人というのはいない当事者が多いのかなと、私自身も思います。そしてごきょうだいがいらしても、関係が必ずしも良くなかったりするんですよね。自分の性的なマイノリティー性をきょうだいなどに明かしていなかったりとか、それをきっかけに疎遠になってしまった、という方もいらっしゃいます。もちろん“実の子がいれば当然、親の介護をしてくれる”という価値観の時代ではないとは思いますが、少なくとも老後、頼れる先があるか・ないかというところには、大きな違いがありそうですね」