バイデン氏側近ら、政府系ファンド創設案を策定-安保利益に投資
(ブルームバーグ): バイデン米大統領の側近らは、政府系ファンド(SWF)の創設案を策定している。テクノロジーやエネルギー、サプライチェーンといった国家安全保障上の利益になる投資を目的としているという。事情に詳しい関係者が明らかにした。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と同氏を支えるダリープ・シン副補佐官が舞台裏で取り組んでいるSWF創設構想は、少なくともその精神においては、5日に共和党の大統領候補であるトランプ前大統領がニューヨークのエコノミック・クラブで明らかにした「偉大な国家的な試み」に資金を提供するSWF創設案と重なるところがある。
サリバン、シン両氏は、毎週ブレーンストーミングを繰り返しながら、ここ数カ月間このプロジェクトに取り組んできた。国家安全保障会議の経済専門家とも会談し、基金の規模、構造、資金、リーダーシップ、潜在的なガードレールについて議論している。
この関係者によると、策定作業はホワイトハウスのスタッフや主要機関の間で文書が配布されるところまで進んでいる。しかし、ファンドの構造や資金調達モデル、投資戦略など重要な詳細はまだ不明瞭なままだという。
それでも、トランプ氏が政府系ファンド構想に支持を表明したことで、創設に向けて超党派で弾みがつく可能性がある。中東の産油国など、資源輸出や財政黒字が大きい国・地域以外での政府系ファンド創設は比較的新しい動きだ。
敵対国による重要物資や新技術の掌握に対抗することが、創設構想の重要な動機となっている。中国の政府系ファンド、中国投資(CIC)は外貨準備を活用し、天然資源に多額の投資を行っており、バイデン氏の側近らは、他国がこのようなペースと規模で資本を活用できる能力がある点をとりわけ懸念している。
ファンド創設構想に携わっている関係者は、バイデン大統領が任期を終えるまでに提案を正式決定したい考え。政府系ファンドがあれば、中国企業と競合し、流動性は低いものの支払い能力はある企業に対して保証やつなぎ融資などを提供することで、米国の利益を強化できると側近らはみている。