早くも世界的に高評価! ドラマ『SHOGUN 将軍』の日本語へのこだわり
封建時代の日本を舞台に描かれる壮大な歴史劇、『SHOGUN 将軍』の配信が開始され、早くも世界的な高評価を得ている。アメリカの有料テレビチャンネル、『FX』が放送(日本ではディズニープラスが配信)するこのドラマは、セリフの大半が日本語となっている。
“日本の時代劇”が日本語で制作されることは、驚くべきことではないと思うかもしれない。だが、それでもこれは、「非常に重大な意味を持つ選択だった」とされている。プロデューサーのひとり、宮川恵理子は『タウン&カントリー』誌に対し、「制作されたのが10~15年前だったとすれば、セリフは英語になっていたのではないか」と語っている。
「現在は、より多くの視聴者が、字幕を読むことや、俳優たちが母国語で話し演じることに対してよりオープンになっていると思います。時代が、それだけの真正性を求めるようになったのです」
脚本を担当したレイチェル・コンドウは、ストーリーが日本語で語られていることは、このドラマに関して「最も誇りに思えることのひとつ」だと話す。 また、彼女の夫であり、脚本の共同執筆者、このドラマの共同製作者でもあるジャスティン・マークスは、日本語で制作したことはクリエイティブな面でも正しい選択だったと述べている。
日本語で話されているセリフは、英語にすることもできた(劇中では、ポルトガル語の会話が英語に置き換えられている)。だがマークスによれば、それでは「うまくいかない」いくつかの理由があったという。 ひとつは、キャスティングにおける選択の幅が狭まること。役に最も適した俳優ではなく、「英語が話せる日本人のなかで最適」な俳優を選ぶことになってしまう。
そして、別の理由としてマークスが挙げたのは、このドラマは「翻訳がテーマだった」ということ。「何が話されているのか、完全には理解していないことを理解し、あるいは翻訳を通じて知り、彼らが求めるものに、彼ら視点を取り入れるというプロセス」についての物語なのだという。 マークスは、すべてのセリフを英語にして、そのプロセスをどのように伝えるのか、「わからない」と話している。